第29話 遊びを教える
「アレクセイ様、カイデール殿下、ロベルト様をお呼びして、アイリ様がお考えになっていらっしゃる催し物を検討いたしましょう」
さすが公爵令嬢だ。メイドに3人を呼びに行ってもらった。
「いや、アイリ嬢、外に作った遊具を見させてもらったがすごいな。楽しそうだ。」
「ありがとうございます、カイデール殿下。子供たちに楽しんでもらおうといろいろと考えました。肩が凝りました」
「アイリ、老女のような人の言葉だぞ」
お兄さま、最近ツッコミが多いよ。
「先ほどアイリ様の遊びのことをきかせていただいたのですが、みなさまの意見を伺いたく、集まっていただきました」
レティシア様も、この企画、異色ととらえているわね。
「アイリ、またアホなこと考えたのか」
「お兄さま、ひどいですね。至極真っ当な遊びを考えましたよ」
ほらー、お兄さまのアホな子発言。ひどいよひどいよ。真面目に考えたのだから。ブーブー。
「膨れっ面してないで、どんなものを考えたのだ、アイリ」
「えーと、護衛騎士の背に子供をおんぶして競争。パン食い競争。男の子には競争がつきものよ。体を動かさないとね」
「「・・・・」」
「あー、うん、アイリ嬢、斬新な考えだよね」
「あぁ、た、楽しそうだな」
はいっ、カイデール殿下、ロベルト様,返答に困っている。そんなに変かなぁ。
「アイリ、やっぱりアホなこと考えだしたな」
「そうかなぁ」
「と、とりあえず、お外にでて、流れで、やってみても良いですし、やらなくてもいいかもしれないですし」
レティシア様まで返答に困っているぞ。ありゃ。
「そ、そうですね。子供たちは護衛をされていても、護衛騎士たちの体に触る機会がないですからね。屈強な護衛騎士と楽しむのも良いかもしれないですね。騎士たちはみんな、王立魔導騎士学園を卒業した人たちですから、知り合いも多いでしょうし。」
ナイスです、マリアナさま。
「パン食い競争とはなんだ?」
カイデール殿下、食いついた。よし。
「パンを袋に入れ垂れ下げておいて、口でそれを取って、走る競技。」
「??」
「じゃー、お兄さまたち、やってみましょうか」
「「「はぁ?」」」
「ちょっと待っていて、準備してくるわ」
騎士2人にお兄さまたちの身長より少し高い位置で紐を持ってもらい、今回のパンはクリームパン、ジャムパン、アップルカスタードパン、ソーセージパン、コーンマヨパン、ピザパンよ。とりあえず6個をランダムにつけてきた。
「さぁ、お兄さまたち、あそこにパンがあるわ。あそこに行ったら、パンの入った袋を口で取ってください。手の使用は禁止です。口で咥えながら、ゴールまで走ってください。これがパン食い競争です。わかりましたか?」
「おい、貴族の令息がすることではないぞ」
「えっ、やっぱりダメ?」
「まぁ、良いではないか、アレクセイ。面白そうだ、やってみよう」
カイデール殿下もロベルト様も乗り気である。
「ふふふ、カイデール殿下楽しそうですね」
「そうですね、ロベルト様も楽しそうですよ」
「しょうがない、やるか。アイリ、どうやるのだ」
「ふふふっ。では、スタート地点で並んでください。目の前のパンでもいいですし、どのパンでも良いです。よーいどんと言ったら、走って、パンを咥えて、ゴールに走ってください。ゴールでは騎士が順位を見ていますので」
「アイリ嬢、パンの中身は、クリームパン??ジャムパン?ソーセージパン?だったかな。どういうものなんだ」
「食べてからのお楽しみです。では、スタート地点へ移動しましょう。もう一度言います。手は使用禁止です。身体強化は使ってはダメです。自分自身の体力の勝負です。位置についてと言ったら、スタートラインへ、よーいで走る心の準備、どんで走ってください。」
「なんだかドキドキするな。3人とも足が速いからな。でも、パンも楽しみだな」
「それでは、位置について、よーい、ドン」
3人は走って行った。同格のレベルだな。お、女性陣は、婚約者を応援している。じゃー、私も
「おにーさまー、がんばれーーー」
令嬢では出さない大声を出した。
「バカヤロー、令嬢が大声出すなー。」
笑いながら走って行ったよ。
あぁ、パン手前付近で、カイデール殿下まっすぐではなく、斜め方向のパン、おにいさまがまっすぐ取ろうとしていた場所に行った。
「ふざけるな、なんでまっすぐ取りに行かないんだよっ」
「あのパンが良かったんだよ」
みんなジャンプして口で取ろうとしたが、1人が取ろうとして失敗すると、紐が跳ね上がり口で咥えることができなかった。
「「「ふふふふっ(あはははっ)がんばれー」」」
カイデール殿下が1番に咥えて走って行った。ロベルト様とお兄さまは同時に取れ、走って行った。接戦だったがロベルト様が2位だった。お兄さまは最後。青春だねぇ。
3人はパンを食べながら戻ってきた。
「このパンうまい。黄色いクリーム、本当に美味しい」と、カイデール殿下。
「私のはとうもろこしにマヨネのような味。美味しいです。」これは、ロベルト様。
「おっ、ソーセージパンだ。うまい」
お兄さま。いつも食べているからね。
「他のパンも持って行きますか?今食べますか?」
「「いま」」
「レティシア様とマリアナ様にもお昼にお渡ししますわ」
「「ありがとうございます」」
「カイデール殿下、どうでしたでしょうか」
「いや、楽しい。これは学園でした方が良いな。今年の学園大会はこれを取り入れよう。身長順にしないと難しいな」
「そうですね、パンも美味しいし、これはいいですね。楽しいです」
「ちびっ子たちはどうですか?」
私が聞くと、
「まぁ、やってみれば良いのでは。体験だよ」
カイデール殿下、話がわかる人だね。
「はじめに、試食でパンを食べてもらいましょうか。それで、あそこにパンがあるので、かけっこ競争で取ってきてくださいで良いですかね。口で咥えないで、手でいいですかね。子供達には動物の顔をしたパンにします。中身はカスタードとジャムかな」
「そうだな、かけっこして、パンを取るでも良いだろう。かけっこすることと、美味しいパンを取る競争で良いか」
「他には、各家の護衛騎士がモノマネをして、それを当てる。当たった人に何がプレゼントをするで良いかなぁ。年齢が大きい子たちは、リバーシなど教えるのでも良いし、いろいろありますね」
「おー、リバーシか。私もやりたいな」
「これからお昼ご飯の用意をしますので、食べ終わったら,リバーシなどの室内でできるゲームをしましょう。子供たちにも教えることができると思いますので。」
「そうだな、午後はゲームをしよう」
「そうですね、リバーシはある。トランプというのはあるのですか、お兄さま」
「トランプ?なんだ、それは。一体どういうのだ」
「紙でできているカードで、ハート、ダイヤ、クローバー、スペードのマークで、それぞれ13枚あるようなカード?」
「そういうのはないな」
「なるほど、作りましょう。他に、すごろく、チェスと将棋は難しいかな、子供たちには。女の子には着せ替え人形がいいかしら。おしゃれ教室がいいかしら。それとも自分でアイスクリーム作り、クレープ作りでもいいわね。どうしましょうか」
「アイリ、すまん、お前の言っているものが全くわからない。午後、それらがどういうのが教えてくれないか」
「そうですね、トランプ作ってみましょうか。女の子はおしゃれ教室だどういうものが良いかつくってみますね」
館に一旦戻ることになった。
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