第8話 両親に話そう

リメイクしたドレスとワンピースを家族にお披露目した。すごくびっくりされたが、好感触。お母さまがとても喜んでいた。自分のドレスもリメイクして欲しいと言ってきた。でも、どうしてこんな素敵なデザインを考えられるの?と不思議がられてしまい、ドキドキしてしまったわ。


お兄さまの方を見てしまった。兄さま、お兄さま、兄貴どうしよう、どうしましょう。


腕組みして、思案している兄。

そして両親たちに言った。

「父上、母上、人払いをして欲しい」


両親に人払いをお願いし、部屋には、両親と兄と私がいる。


「アイリの最近の行動について、話があります。あの怪我をしたお茶会以降、アイリの様子が変わったと思いませんか。アイリ、話せるか」

と、兄が私に話を促す。


「お父さま、お母さま、あの、あの」


「アイリちゃん。アイリちゃんがどんな子であれ、私たちはアイリちゃんのことが大好きですよ」


「お、おがあざまーー」


涙腺崩壊。ズビズビと涙、鼻水全開で泣き続けた。背中をみんながさすってくれた。これはアイリの年齢に引きづられているなぁ。

落ち着いたところで話を始めた。


「お兄さまに相談して、話をしようと思いました。

私、アイリの記憶もあるのですが、別の記憶も持っているのです。

前世?と言って良いのか、別の世界のニホンという国で生まれ育ち、最後の記憶は41歳でした。ちなみに独身です。私が20歳すぎまでは、裕福な家庭でした。

経済事情の関係で、父が経営する会社が経営不振に陥り、家庭環境も不安定になりました。でも、家族で助け合いながら、なんとか過ごしてきました。

両親は働いていたので、弟と妹の面倒は私が見てました。もちろん、私も商品開発する会社に勤めていました。そして、料理やお菓子を作ったり、家計を少し助けたりと色々していました。家庭環境は変わってしまいましたが、笑いの絶えない、楽しい家庭だったと思います。

今までのアイリとは全く違った行動をすると思います。今までのアイリの趣味は全く合わないので、ガラリと変わってしまうかもしれません。戸惑うこともあると思います。アイリじゃなくてごめんなさい」


一気に喋った。


「ブフッ」「ウフフ」


「41歳、私たちより年上ね(だね)」

えっ、そこ?兄もそれだったけど。


「アイリはアイリだし、私たちの子どもだよ、ブフッ」


「そうよ、アイリちゃんは私たちの子どもよ。中身41歳でも」


「でも、アイリとは違った人格になってしまったことを気持ち悪くないですか?それに姿形はアイリですが、前のアイリとは違うので違和感を感じないですか」


「アイリはアイリだよ。私たちの娘だ。何も卑下することはない。小さい時は素直で可愛い子だったが、どうしてあんなわがままになってしまったのか。私たちが放置していたのが悪いのだが、今のアイリで、のびのびと生きて欲しい。」


「そうよ。アイリちゃん。これから家族みんなで楽しく過ごしていきましょう。アイリはアイリよ」


「おどうざま、おがあざま。うわーん。ありがとうございます。本当にありがとうございます。みんなで楽しく暮らしていけるように、私も頑張ります。ぐすん、グズっ、ぐずっ」


「よかったな、アイリ」


「おにいざまー、ありがとう。うわーん」

 

「まったく、アイリ。41歳の女がうわーんって泣かないだろう」


「お兄さま、私はピッチピチの15歳でーすよ。」


「「「あはははは」」」


 みんなに受け入れられてよかった。これから、暮らしを良くするために頑張るぞ。

おー、と、腕を振り上げたら、3人にキョトンとされてしまい、また、笑われた。


「あと、アイリの魔法属性なのですが、これを見てください。」

マジックバックを両親に見せた。


「これはポシェットか。いいな、この形。ベルトに通せるのか」


「父上、これはアイリが付与して作ったマジックバック 小 時間停止付です。小と言っても、この部屋より小さいぐらいの収納です」


「は?え?アイリが作ったマジックバック?時間停止付?」

お父さま大混乱だね。ハテナマークばかり語尾についているよ。


「そうです、アイリが作ったマジックバックです」


「そんな小さいポシェットなのに、この部屋ぐらいなのか?はぁ?」


大丈夫かな、お父さま。脳溢血にならないでね。まだ、若いんだから。


「アイリ、マジックバックが作れるのか。このことは誰にも言ってはいかん。アイリの身の危険をかんじてしまう。内緒だ。マジックバックは、人助けをして、譲ってもらったということにしよう。そうだ、そうしよう。これは譲られたものだ。ふぅ、アイリ、頼む、これからは、何かする前に必ず言ってくれ。頼むぞ。」

お兄さまにも言われたことをお父さまにもいわれた。はい、たぶん、何かする前にいうと思います。


「さて、前世のことを、執事のジェラードと侍女長のハンナに伝えて良いだろうか。私たちがいない時にジェラードやハンナに言えば、アイリの協力者になってくれるだろう。アイリ、どうだろうか」


「信用ができるなら、伝えても問題ないと思います」


「そうか、では、2人を呼ぼう」

そして、2人を呼び、ことの展開を話をした。


「アイリお嬢さま、何かわからないことや入り用なことがございましたら、私たちに伝えたください。そして、このことは絶対他言致しません。安心してください」


「ありがとうございます。ジェラードさん、ハンナさん」


「アイリお嬢さま、敬語は必要ございません。ジェラードとハンナとお呼びください」


「わかりました。よろしくお願いします」


「アイリお嬢さま、執事や侍女には頭を下げてはいけません」


「わ、わかったわ、ジェラード、ハンナ。この世界の方があまりわからないので、迷惑をかけると思うけど、よろしくね」


「「かしこまりました。アイリお嬢さま」」


「ところで、お父さま、お願いがあるのです。」


「なんだい」


「私に厨房へ入る許可をいただきたいのです。私のいた世界と味の好みが合わなくて、料理してもいいですか?」


「確か、アイリは料理とか作って、弟さんや妹さんの面倒を見ていたんだね。そうか、味が合わないのか。そうだな、許可しよう。その代わり、作ったものを試食させて欲しい。どうだ?ジェラード、ハンナ手配できるか」


「かしこまりました。アイリお嬢さま、入り用な食材がありましたら、教えてください」


「お父さまありがとうございます。私のいた世界の料理がお口に合えばいいのですが、恥ずかしいです。ジェラード、こちらの世界でなんていうのがわからないけど、りんご?アップルという名前の赤い果物あるかしら」


「アップルというのはあります。」


「あとで見せてください。あと、蓋が付いた瓶も用意して欲しいです。」


「かしこまりました。では、料理長に伝えて、準備が整いましたら、お迎えにあがります」


「ありがとう。楽しみだわ」


「みなさん、本当にありがとうございます」




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