【完結】花見してたら家族全員がTSした件

朱音ゆうひ🐾

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 性別って、変わるんだ?


 中学校を卒業した俺は、TS(肉体的異性化)した。

 しかも、TSしたのは、俺ひとりじゃない。家族全員だ。


「たけし! あんた、女の子になったからっていつまでも自分のおっぱい揉んでるんじゃありません」

 野太い声のおっさんは、母さんだ。


「たけし。父さん、その気持ちわかるぞ。だが人前で乳を揉むのはいかんな。刺激が強い」

 

 父さんは鼻血を出していた。まさか、息子が乳揉んでる刺激で鼻血出したのか?

 俺はティッシュを鼻につめてあげた。 


「お兄ちゃん見て。あたし、ガチでイケメンなんだけど~!」

 一歳年下の妹は自撮りしまくっている。

「母さーん。あたしと絡み写真撮ってよー。そこの桜の木を背景にしてさ」


 場所は、桜が咲き誇る花見会場。


 ピクニックシートに置かれた折りたたみ式の椅子に座って、爺ちゃんは「わしが婆ちゃんになってもなあ」とマイペースに煎茶を啜っている。

 そして、その隣にはVtuberアバターみたいな半透明のロリ娘がいた。

 

 ロリ娘は、婆ちゃんの若い頃に似てるらしい。

 頭からは角みたいに桜の枝が生えていて、長いピンク髪は綿飴みたいにふわっふわ。

 目はアーモンド型で、碧眼だ。

 なお、このロリ娘、一人称が「わっち」。

 

「爺ちゃんや。わっち、若返りの術は会得しておらなんだ」

「いやいや。婆ちゃんは隣で笑っていてくれるだけで、わしは幸せじゃよ」

「わっち、婆ちゃんではないのじゃが」

  

 爺ちゃんはロリ娘を死んだ婆ちゃんだと思っているが、そのロリ娘は俺たちの家族ではない。

 

 何を隠そう、実は彼女こそが、俺たちをTSさせた犯人なのだ。

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