Episode1.勇者エクレアは喋れない
───○月✕日、私は亡くなった。
死因はなんて事はない飛び降り自殺だ。
生きていく事に絶望して、身を投げた。これから先の未来が見えなくて、どうしたらいいのか分からなくて気持ちがぐちゃぐちゃになって、気付いたら飛び下りていた。
死んだらもしかして彼に会えるんじゃないかって思った。
私を庇いトラックに轢かれて亡くなった
別に恋人だった訳じゃない。友達でも親しい関係でもなかった。仕事の同僚で元同級生。そしてお兄ちゃんの友達。それだけ。
いや、自分の気持ちに嘘をつくのはやめよう。彼は私の好きな人だった。
好きで好きで仕方がなかった。大好きだった。学生の頃から、私をイジメから救ってくれたあの時から。
ずっとこの思いを伝えられなかった。内気な自分が嫌いだった。
勇気を出せない私が嫌いだ。彼と一緒に居るだけで満足してしまっている私が嫌いだ。
追いかける事しか出来ない私が嫌いだ。
学校も仕事も追いかけるように同じ所を選んだ。ただ彼を見ているだけでも良かった。
出来れば想いを伝えて恋人になりたかったけど、それでも近くにいられるだけで嬉しかった。
その死後でさえ追いかけようとしている。
きっと私はストーカーなんて呼ばれるんだろう。
「分かってると思うけど、貴方は死んだわ。死因は自殺」
「はい」
「本当ならもう少し長生きする筈だったんだけどねー。こればっかりは仕方ないわね」
彼女はミラベルと名乗っていた。
神様と呼ばれる存在らしい。
「次の転生先はもう決まってるからちゃちゃっと行っちゃいましょう!」
「あの!」
「どうしかしたの? あ!種族が心配? 貴方の来世は人間だから安心して」
人間じゃない場合もあるの!? それは嫌だけど、そうじゃなくて!
「彼と、私を庇って亡くなった敦くんと同じ
「ん?誰だったかしら。えーと、あ!あの子か。残念ながら別ね。貴女は貴女用の転生先が用意されてるからそっちに行きなさい」
ペラペラと手元の書類を捲って確認してくれたけど、それは私が望む回答ではなかった。
「同じ世界は無理ですか?」
「無理よ」
「どうしてですか!?」
「言っても仕方ない事だけど定命の者の命の流れは全て決められているのよ。生まれた事も死んだ後の事も全てどうなるか定められている。それを変えることは出来ないわ」
「それじゃあ...」
「ん?」
「それじゃあ、死んだ意味がない!敦君のいない世界なんて私はいらない!
彼のいない世界で生きていくことなんて出来ない!」
死んだら会えると思った。それなのに死んでも会えない。敦君のいない世界?
嫌だ。そんなの絶対嫌だ。
「無理なものは無理なの。諦めなさい」
「お願いします!敦君と同じ世界に行かせてください!」
「だから無理だって...」
「どんな目にあってもいい!罰を受けたっていい!だから敦君と同じ世界にしてください」
「あなた...」
土下座でも何だったする。死ねと言われたら死のう。もう死んでるけど。
辱めを受けろと言うなら受けよう。それで敦君に会えるなら構わない。
何だってする。何をされてもいい。だから同じ世界に行かせて欲しい。
数秒の沈黙の後にため息が聞こえた。
「既に定められた命の流れを無理やり変えようすれば、それは大きな歪みになるわ。それ相応のペナルティを受けることになる。
用意された先に転生するのと違って貴女の思い通りにはならないわよ。それでもいいの?」
「はい!敦君のいない世界に興味はありません」
「人間って分からないわー」
ミラベルはやれやれといった感じ。
神なんて言ってるけど人間くさい。
「そう。ならペナルティについて話しておくわ。転生してから話が違うなんて言われても困るから。
その話を聞いて辞めたくなったら言って」
「はい」
こちらを気遣っているのが分かる。根は優しいのだろう。
「貴女は転生先の世界で一言も喋れないわ。文字は読めるけど筆談による会話も出来ない。
頷くか、首を振るか伝えたい事は行動で伝えないといけない。物凄い不便よ、貴女が思っているよりずっと。
それでも行く?」
「はい!そこに敦君がいるなら!」
またため息。出来れば諦めて欲しかったのだろう。
「正直に言うわ。このペナルティは他の
記憶をなくせばそのペナルティも必要ないけど、違うわよね」
「はい。敦君の事は忘れたくありません」
転生しても敦君の事を忘れてしまえば、意味はない。
「たまーにね、他の神がチェックしてるのよ。ちゃんと仕事しているか。
今からやろうとしてるのはハッキリ言って不正なのよ。もし見つかったら私も降格だけじゃ済まない。だから予定の世界へ転生して欲しいのだけど...」
彼女をジッと見つめる。ここが勝負どころだ。
「分かったわよ!!ねじ込んでやるわよ。けど、私のリスクが大きい以上ペナルティは譲らないわよ」
「はい!ありがとうございます!ペナルティだろうと何だろうと受けます」
「今回のやり取りがあった事を伝えるのも禁止。前世がある事や転生者である事、そして
既に貴女の想い人が転生先でいる以上、チェックの対象なの!絶対バレないようにします」
なんと言うかヤケクソになってる。私のせいだけど。
「ここまでするのよ。必ず貴女の想い人に会いなさい」
「はい!必ず敦君に会います」
「貴女が行く世界は少しばかりハードよ。だからありったけの才能をあげる。それこそ物語の主人公を張れるくらいの
せっかく不正してまで転生させるんだもの、簡単に死なれては困るわ」
「はい!ありがとうございます」
「それじゃあペナルティを与えるわ。行ってらっしゃい」
彼女の手から放たれた光が私に当たる。
あれ?喋ろうとしてるのに声が出ない。こんな感覚なのね。
これくらいのリスクは上等!
敦君に会えるなら構わない。もう一度、貴女の傍に行きます。今度こそこの想いを伝えたい。あ、喋れないじゃん私。どうやって伝えよう。
───さよなら
「そういえばあの子は大丈夫かしら?一応才能は与えたから簡単に死なないと思うけど、念の為10年後くらいに見に行きましょう」
ミラベルがなんか言ってた。どうでもいいけど。
転生して最も困ったのは幼少期、それも赤ちゃんの時だ。
なんと言っても私は喋れない。
声を上げない赤ちゃんに両親や神官が大慌てしていたのを覚えている。この頃は両親に心配と迷惑をかけたからほんと申し訳ない。
病気なのか呪いなのか色々と調べてくれた。最終的にこの子には神の加護が宿っている。それが原因かも知れないと神官が判断した。
加護と言うよりペナルティなんですけどーって言いたかった。
まぁ加護って解釈のおかげで私が特別な子って感じな扱いになったから良し? 変わった子として扱われてたら育児放棄とかあったんじゃないかな?
そんな訳で、神の加護を受けて生まれたという事でとても大切に育てられた。
私の家系が勇者の血を引くというのが大きかったかな? 加護を獲て生まれてきたからこの子は次代の勇者に違いないと教会の神官だったり、家族が大騒ぎしていた。
違うよーって否定したかったけど喋れないのがもどかしい。赤ちゃんだからそもそも言葉話せないけど。
───時は流れる!
5歳くらいになった頃に父さんがしている素振りの見真似で、木の棒を振り回していた。
この世界に敦君が居るみたいだけど何処にいるのかが分からない。そうなると世界中を探し回らないといけない。
でも、どうやらこの世界は魔物やら賊やら前世に比べたら物騒なようでそれなりに力がないといけないみたい。
正直、習い事なんてピアノくらいしかした事なかったし運動音痴だったから剣を振った所でって思ったけどこの体凄い!
教えてくれた事をその通りにすると体に馴染むまでが本当に早い。ミラベルが言っていたように才能が凄いみたい。
私がブンブン木の棒を振っていると父さんが『流石は俺の子だ。次代の勇者としての才覚が既にあるな』と自慢げだ。誰目線だ?
小さい頃に私が抵抗出来ないのをいい事に私に髭面で頬擦りしたのはまだ許してないんだぞ。
私のモチモチの柔肌に対してあんなジョリジョリと。私は根に持つタイプだ。絶対に許さん。
このまま綺麗な肌をキープして敦君に、肌綺麗だねって言われたいのだ。
───時は流れる!
10歳くらいになると自分の行動範囲が増え、色んな所を見て回れるようになった。
今まで過保護な程に大切に育てられていたので、町の中を探索するのだって1人では許してくれなかった。
今私がいるのはアルカディア王国と呼ばれる国だ。王都から南に行ったところの『ハジマリ』と呼ばれる町で生まれて今まで育った。
この町は勇者が生まれた町として知られているらしく、観光客っぽい人がチラホラと見える。
その大きな理由は町の中心地に置かれた大きな岩に刺さった剣。なんと先代の勇者様が残した聖剣らしい。この剣を抜く事が出来るのが次代の勇者と言われている。
だからこそ聖剣を抜こうと屈強そうな男の人が挑戦して、抜けなくて肩を落としているのを見かける。
私なら抜けるんじゃないかなーって、挑戦しようとしたけど父さんや何故か家で居候してる神官に止められている。
抜くのはまだ早いらしい。もう少し体が出来て実力が付いた頃に抜こうと。
2人とも私が抜ける前提である。
───時は流れる!
15歳くらいになると体つきが女の子らしくなってきた。
残念ながら前世と同じで胸はあんまり大きく育ってない。いや、まだ成長期だしこれからこれから!
敦君は胸派だろうか? 私はお尻の形には自信があるから敦君はおしり派であって欲しい。
母さんの血をしっかり引いたみたいで、今の私は美少女だ。近所の男の子たちから熱い視線を感じるが私が思いを向けるのは敦君だけだ。諦めろ少年たちよ。
何時でも敦君探しの旅に出られるよう、私は現在猛特訓中だ。
体が大きくなるまでは筋トレや素振りがメインだったけど、最近は父さんを相手に対人訓練もしている。
才能バッチリな私なら直ぐ勝てるって思ったけどこのヒゲモジャ凄い強い。騎士でも傭兵でもないのになんでこんなに強いのか疑問だ。
一応こんなヒゲモジャだけど勇者の血筋だから? 納得いかない。いつか倒す。
居候の神官がそろそろ魔法を覚えないかと提案してきた。
よーし!魔法も剣もいけるオールマイティな美少女剣士に私はなる!
───時は流れる!
とうとう20歳だ。前世なら大人の仲間入りだね。残念ながら胸はそこまで大きくならなかった。普通より少しくらい? お母さんと同じ巨乳が良かったのに...。
こうなると敦君がおしり派である事を祈ろう。
筋トレしてるから変な筋肉が付かないか心配だったけど、女の子らしい柔らかい肌をしてる!
それなのにしっかり筋力は上がってるから不思議だ。これが異世界パワーなのか!?
さて、特訓の成果が出たのかとうとうお父さんを倒した。思いっきりぶちのめした。ざまぁみろヒゲモジャめ。私の柔肌をジョリジョリしたのが悪い!
剣の腕はみるみる成長していく。なんというか凄い勢いでレベルが上がっている感覚だ。この体の才能はほんと凄い。
魔法の練習も並行して行っている。喋れないから魔法は使えないかなって思ったけど、適正属性と魔力さえあれば大丈夫らしい。
呪文を詠唱した方が魔法の威力は上がるが、呪文さえしっかり覚えていれば魔法は発動出来るらしい。
私の適正属性は『聖』と『雷』。魔力は常人の30倍くらいあるらしい。魔法使いとしてもやっていけるだろうって言われた。凄いぞ、私!
20歳になって少し経った頃に父さんと一緒に王都に行く機会があったが、敦君はいなかった。結構探索したけど見つからなかった。
どこに居るんだろ敦君。早く会いたい。
そろそろ旅に出たいけど、父さんと神官に止められている。運命は決まっているがまだその時ではないって。何言ってんだこのヒゲモジャ。
───時は流れる!
23歳になった。美貌は磨きがかかっていると言っていい。この町一番の美少女と話題になってる程だ。
正直いつでも敦君に会ってもいい。綺麗だね、可愛いねって言って欲しい。
早く探しに行きたい。
もう旅に出てもいいと思うのに、未だに許されていない。魔法の発動もスムーズに行えているし、父さんにも難なく勝てるようになった。
今では父さんのお弟子さんと2人がかりできているがそれでも勝ててしまっている。
実力はもう十分だろう。理由を聞いても前と同じだ、まだその時ではないって。電波でも受信してるのか、このヒゲモジャ。
さて、今まで何事もなく平和であったけど今年になってちょっとした騒ぎが起こっている。
アルカディア王国のとある貴族が不祥事を起こして爵位と領地を没収された。それに納得いかなかった貴族が配下の兵と共に教会を襲撃しエルフの神官達を人質にして王家に爵位と領地の返還を求めているらしい。
正直バカだと思う。そんな要求が通る訳がないし、仮に通ったとしても騒ぎが治まった後に潰されるのが目に見えている。
それでもアルカディア王国としては困った事態である。元とはいえ自国の貴族が教会を襲撃してしまっている。人質のエルフに危害でも加えたら国際問題待ったナシだ。
相当切羽詰まったいるのか王国からの使者がヒゲモジャの元にまで来ていた。私への要請かと思ったが父さんに動いてくれないかという相談だった。私の方が強いんだけどなー。
結果から言うと無事にこの騒ぎは収束した。
父さんも動こうとしたが、それより早く動いた者がいた。なんと旅の傭兵らしい。
たった一人で教会に立て篭もっている貴族たちをなぎ倒して、人質を助けたという。
凄いよね。聞いた時やるぅーって思っちゃった。
確か『剣聖』カイル・グラフェムだったかな?強い人はいるんだねー。
アルカディア王国の武術大会にも出ていたらしい。その大会で優勝して剣聖の異名を継承したみたい。
今回の騒ぎはその場に居合わせたエルフの大司祭が大事にしないように治めてくれたのが一番大きい。
下手したらエルフの国と戦争になる所だった。グッジョブだよ会ったこともない傭兵君とエルフの大司祭様!
そういえば、魔王が復活したなんて噂が流れてるけど大丈夫かな?
───時は流れる!
25歳になって私は勇者となった。
魔王が復活したという噂は事実みたいで、それを証明するように今まで姿すら見せなかった魔族が各地で暴れている
被害は小さいものではない。アルカディア王国にも影響は出ている。
父さんがついに『運命の時はきた。着いてこい、聖剣を抜き勇者となれ』って格好つけてたけど、父さんが言う前に既に聖剣を抜いてしまっていた。
魔族や魔物の被害が増えて世界的にも混乱が大きくなってる。
これはもう私の出番じゃないかなって。
思ってた以上に聖剣はあっさり抜けた。聖剣を抜こうと私の後に並んでた者がえーって!声を上げていたのを覚えている。
私が聖剣を持っているのを見て父さんは膝から崩れ落ちてた。どれだけショックだったんだこのヒゲモジャめ。
それから聖剣を抜いた者が現れた。
今代の勇者が誕生したと、世界各地に私の名が広がった。それだけ魔族の驚異に怯えていて、期待しているのだと思う。
勇者としてアルカディア王国に招集されたのはその後直ぐだった。
そこで私は
「剣聖、カイル・グラフェム!良くぞ我が招集に答えてくれた。感謝する」
「魔族の脅威は世界にとっての脅威。対抗する戦力に選ばれた事を光栄に思います」
王様と会話する彼から目が離せない。金髪碧眼の物語に出てくる王子様のような男の人。
髪の色や目の色は違うけど、間違いない敦君だ。
顔は全く同じだった。髪の毛を染めてカラーコンタクトを付けたのかなってくらい。体格は少しガッチリしている?前のスーツを着こなしていた彼も好きだけど、鎧の似合っている彼も素敵だ。好き。
勇者として世界各地を旅して敦君を探すつもりだったけど、こんな形で再会出来るなんて!
ヒゲモジャが言っていた運命ってこの事? 敦君が私の運命の人って事!?
おっといけない。落ち着け私。25年ぶりの敦君だからって騒いじゃダメだ。
今はなんか王様が大事そうな事を言っているしそっちに集中...あ、真剣そうな顔もカッコイイ。
「さぁ行くのだ我が勇者たちよ!魔王を倒しこの世界を救うのだ!」
気付いたら王様の話終わってた。何かやけに顔が青白いけど大丈夫?
手もお腹に当てて摩っているけど、お腹でも痛いの? 御手洗我慢してるなら早めに行った方がいいと思うよ。
あ、それよりもう旅立つ感じ?
敦君をずっと眺めてたから何も聞いてないんだけど? 他のみんなが動いてるしそっちに着いて行こう。
こんなに近くに敦君がいるなんて。夢じゃないよね? 会えたんだよね?
勇者パーティーとしてこれから敦君とずっと一緒? 最高すぎる!
「エクレアだったかな?」
城を出て直ぐに敦君が話しかけてきた。声も前と同じだ。声を聞いているだけでキュンキュンくる。
ヤバい緊張する。返事をしたいけど、喋れないのがもどかしい。
とりあえず頷く。
「勇者エクレア。このパーティーは勇者である君の元に集まっている。君が俺たちを先導して欲しい」
真剣な表情もカッコイイ。碧眼が似合ってる。ほんとに王子様みたいだ。
敦君の言葉を無視するなんて出来ない。頷く事で返答する。
私がリーダーか。勇者としてどういう行動したらいいのだろうか?
向かうにしても目的地がないし。そういえば昔やってたゲームも勇者が主人公だったかな?
それと同じようにすればいいか。
敦君と一緒に旅が出来る。最高!
「え?どちら様ですか?」
記憶がたしかだとゲームの勇者はこうやって民家に入って道具を集めていた気がする。タンスの中にはお金? 旅の資金は必要だよね。
お金を鞄にしまうと家の住民が声を荒げてを襲いかかってきた。びっくりしたけど反射的に投げ飛ばす。
「何をしているんだ?」
敦君がびっくりしている。そこで漸く冷静になった。どうやら私は敦君と一緒にいるのが嬉しすぎて浮かれていたらしい。テンションが上がりすぎてハイになってみたい。
ゲームと同じように行動してた? 犯罪?
あ、衛兵さんが来た。
正直恥ずかしい。穴を掘って埋まりたい。
よりにもよって敦君の前でやらかしてしまった。敦君が上手く取り成してくれたお陰で捕まる事はなかったけど、やってしまった!!
「大丈夫か? 誰でも間違いはある。同じ事を繰り返さない事が大事だ。切り替えていこう」
励ましてくれる敦君の声に泣きそうになる。
その優しさが辛いよー。
今すぐ時を戻したい。敦君と再会した時に戻してもっと勇者らしく出発したい。
とはいえ、やってしまったもの仕方ない。敦君が言うように同じ事をしないようにしよう。切り替えろ!私!
頷くと、敦君がニッて笑う。素敵!カッコイイ!付き合って欲しい!
想いを伝えたいけど、言葉が出ない。行動に移すには恥ずかしさが勝ってしまう。
せっかく会えたのに勇気を出せない私が憎い。近くにいるだけで満足してしまっている。
変わりたい。勇気を出したい。
───勇者とは勇気ある者!
この旅が終わるまでに敦君に想いを伝えよう。
───『転生する前からずっと好きでした』って。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます