第2話 義理の妹、美幸との思い出(1)―母から「パパママごっこ」を封印された!

僕は中田なかた まこと、妹は中田なかた 美幸みゆき、父は中田なかた紘一こういち、母は中田なかた 紗恵さえの4人家族だ。父は僕を連れて、母は美幸を連れて、再婚していた。


僕に物心ものごころがついたころには妹がいた。僕と妹はいつも夜、同じ布団に寝かされていたのを覚えている。そして隣の布団には父親と母親が寝ていた。


朝方になると妹はよく父親と母親の布団に入りにいっていた。そして妹は父親と母親の間に入って寝ていた。それで僕も妹に続いて父親と母親の間に入ったりしていた。


両親はそういう僕たちを抱き締めて寝てくれていた。そしていつも4人で仲良く目覚めて起きていたように思う。


僕が何歳のころかは覚えていないが、夜中に物音で目が覚めた。隣の布団にいるはずの両親がいなくて探したら、ガラス戸の隙間から隣のリビングのソファーで二人が抱き合っているのが薄暗い中に見えた。しばらくして静かになったので、僕も布団に戻って眠った。朝、気が付くと両親は隣の布団で眠っていた。


それからは時々物音で目が覚めると両親が抱き合っているのを戸の隙間からこっそり見ていた。僕はそうして二人が仲良く抱き合っているのを見るのが嬉しかった。それに僕は両親が喧嘩しているのを見たことがなかった。


あるとき僕がこっそりのぞいて見ていると妹が起きてきて僕のところへ来た。「お兄ちゃん何しているの?」と聞いてきた。僕は「静かに」と小声で言いきかせた。妹は僕をまねて覗いた。


そして妹は「パパとママは仲が良いね」と言って嬉しそうだった。それで二人は布団に戻って眠った。そういうことがあってから、妹は母親の真似をしてか、僕に抱きつくようにして眠るようになっていた。


僕が何歳だったかはっきりとは覚えていないが、小学校入学後だったと思う。僕たち兄妹は家に帰ると二人でいつも遊んでいた。2階の前の和室には布団がいつも敷いてあった。あるとき、美幸がそれを見つけるとお兄ちゃんと「パパママごっこ」をしたいと言い出した。


僕たちはズボンを脱いで抱き合って両親の真似ごとをしていたと思う。そのうちに2階の部屋での「パパママごっこ」を母さんに見つかってしまった。


「二人で何をしているの?」


「『パパママごっこ』をしているの? パパとママがしているから」


美幸がそう言ったように思う。


「パパとママは結婚しているからいいのよ」


「結婚しているからいいの?」


「美幸とお兄ちゃんは兄妹きょうだいだから、『パパママごっこ』をしてはいけません」


「お兄ちゃん、これからは妹と『パパママごっこ』をして遊んでは絶対にだめですよ。約束して」


「約束する」


「ママ、美幸がお兄ちゃんと結婚したらいいの?」


「そうね、大人になって、お兄ちゃんのお嫁さんになったらいいわよ。でも小さいうちはこんなことをして遊んでは絶対にだめよ。分かった?」


「分かった」


母さんにきつく言われたことを今でもはっきりと覚えている。そのころに『美幸が大きくなったらお兄ちゃんのお嫁さんにしてほしい』と言っていたような気がする。


それを美幸と約束したようにも思うけれど、はっきりとは思い出せない。それは母さんから妹と『パパママごっこ』をして遊んでは絶対にだめと約束させられたからだと思う。

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