異能力者は乙女ゲームの世界で。
@kumanonn
第1話 其の少女、異能力者。
私、織田有栖はヨコハマで死んだ。死因は思い出せない。
可也濃い人生を送ってきたと思う。幼い頃、貧民街に生まれ、その異能力によって戦場に送られた。その後裏組織に入った後、政府機関に所属。
なっ、濃い人生だろう?
だが、悪くは無かった。いや、寧ろ良い人生だったとはっきり言える。
大勢の色んな人達に出会い、ヨコハマの為に命懸けで働いた事は、今でも私の誇りだ。
だから人生に悔いはない。……の、筈だったんだが。
「バブ……?」
気づいたら、赤ん坊に転生していた。
☆★☆
「……はあ」
「アリス、どうしたの?」
「いや、何でもないよ」
中世ヨーロッパの様な、魔法という異能力とは別の力がある世界に転生してから早六年。私はとある国の公爵令嬢に転生した。
そして、現在質素な孤児院暮らしである。はっ?と思うだろう。だが、事実だ。
王族の血筋も引く由緒正しき公爵令嬢だった私は、酷く今の父親、公爵に嫌われていた。理由は簡単。両親が酷く不仲だったからだ。契約婚は普通の時代ではあるが、私の母親というべき人が、公爵に恋し、無理矢理婚約を取り付けた。公爵には愛する人がいたのにだ。
まぁ、その愛する人は、男爵令嬢。対する母親は王家の血を引く公爵令嬢。身分が違いすぎて、勝敗の余地もなく。何方にせよ結婚は不可能だ。
そして、付き纏われ続けた公爵は私達親子を嫌った。そして、母親が死んだ後、愛人の男爵令嬢を招き、そして私と同い年の実子を呼び、私は使用人同然の扱いを受けた。
普通の令嬢なら心が折れそうだが、私は転生者。中身は二十歳プラスの四歳な上に、前世は貧民街育ちなんだ。断然此方の方がマシな環境下で育った私は普通に使用人をやりつつ、この世界の情報集めと元の世界に帰る方法を探っていた。
が、五歳の頃、魔力検査の日に魔力ゼロが発覚。表向きは病死になり、裏では殺されようとしていた。が、私は元ポートマフィアであり元猟犬。夜に忍び込んできた、此方を魔力もない唯の幼女と侮る暗殺者に負ける訳が無い。
結果、持っていた異能力で気絶させた。私の異能力は『怪人二十面相』。一度触れた事のある人間の容姿に完璧に変装できるというもの。幼児であろうが大男であろうが関係なく、体質や声、服装まで変えれる。その代わり口調や性格、異能迄は模写できないが。
そして、公爵家を抜け出して異能を駆使し、国外に逃げた。その隣国であるこの国でとある孤児院に拾われ、二日前から此処に住んでいる。そこでとある少年と出会った。
名前はルイス。紺色の髪の内気な少年である。その美貌と人よりも何十倍もある大量の魔力により、嫉妬や畏怖により虐められていた。
偶然その場に居合わせ、虐めていた子達を撃退したら懐かれた。
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