マリオネット
「おはようございます」
「おそよう」
『
漸く目を覚ました
「夢じゃ、なかった、か」
「夢じゃ、」
ぱたり。
少しの間腕を上げて小さな己の手を見つめていたが、糸が切れたマリオネットのように、急に力が入らなくなった腕は布団へと落ちた。
「夢だったら、どんなにか、よかったか」
身体はこれでもかと若返ったのに、心は実年齢よりもずっともっと年老いてしまったらしい。
泣き喚いてしまいたいのに、涙は出てこなかった。
一滴たりとも。
「
一旦、両手に持っていたお盆を寝台の傍らにある円卓に置いてのち、
お盆には、コーンスープの入った椀とスプーンが乗せてあった。
「あ~んしてやろうか?」
寝台のベッドボードと大きな枕に背を預けた
一時思案するかのように無言だった
「美味しい、です」
「そっか」
「はい」
(2024.6.12)
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