第40話 修行の日々
冒険者都市リゾムで始まった修行の日々。
ダンジョン攻略に必要な知識と経験をしっかり積み重ねた俺たちは、ついに最難関と呼ばれるクエストを達成。
「信じられねぇなぁ。こんな可愛らしいお嬢ちゃんたちが達成しちまうなんて」
「確かに外見からは想像できないが……彼女たちは強いよ」
この一ヵ月で、ミレイン、メルファ、トーラの三人は凄まじい成長を見せた。
これが若さってヤツなのかね。
特にメルファとトーラのふたりは非常に飲み込みも早く、体力的にも技術的にも驚くほど伸びた。
ミレインに関しては、彼女が今のメルファよりも幼い頃から一緒に鍛錬を積んできていることもあってか、劇的な成長とまではいかないものの、着実に【ヴェガリス】の頃より強くなっている。
さらに、最近は年下のふたりの良き姉弟子として模範となる立ち振る舞いが増えてきた。
感情が爆発しやすく、暴走も多いトーラのブレーキ役を担い、さらには言葉数や表情の変化が少なくて他者から理解されにくいメルファのフォローもしっかりやってくれる。
そういうこともあってか、ふたりともミレインを実の姉のように慕っているようだ。
一ヵ月という期間のうちに、周りの冒険者たちとも良好な関係を築けたようだ。
リゾムでの経験はきっとこの先も役に立つはず。
少し時間はかかったが、ここで経験を積めたのは大きいな。
「みっちり仕込んだんだ。そろそろステップアップさせてもいいんじゃないか?」
「そのつもりだよ、ライソン」
「そうか……寂しくなるな」
リゾムから歩いて行ける距離にあるダンジョンは全部で三か所。
そのすべてで結果を残した彼女たちには、次なる難関ダンジョンに挑戦するだけの力がついていた。
幸い、今のところは【ヴェガリス】の――いや、パーティーというより狙っているのはアルゴただひとりだけのようだが、とにかくヤツからの襲撃はなかった。
俺たちを見失ったか、或いは冷静さを取り戻して追うのをやめたか……いずれにせよ、俺たちにとっては平穏な日々が戻ってきて嬉しい限りだ。
とりあえず、浮かれている彼女たちに次の目的地を伝えた。
「さらに難しいダンジョンか……腕が鳴るぜ!」
「ちょっと不安はあるけど、楽しみ」
トーラとメルファは新しいダンジョンへの挑戦に闘志をみなぎらせている。
大体こういう空気になると、
「気を引き締めていきましょうね」
さて、分かりきってはいたことだが、三人ともヤル気満々のようだし――次のダンジョンを目指して北を目指すか。
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