第13話 予想外の敵
「なんだ!?」
さっきの悲鳴――それほど遠くない距離だ。
「行ってみましょう、師匠!」
「大事件の予感……」
「そうだな。急ごう」
何が起きたかは定かでないが、尋常じゃない事態が発生しているというのだけは伝わる。
大急ぎで声のした方へと駆けだすも、なかなか悲鳴の主を見つけられないでいた。
ちなみに、メルファは速く走れないため、俺が背負っている。
森の中を走り続けていると、やがて四人の若者たちの背中が見えた。
距離と方角からして、彼らのうちの誰かがさっきの悲鳴の主だろう。
「どうした!」
「何があったんですか!」
俺とミレインが同時に声をかけ、彼らも振り返る――と、次の瞬間、
「助けてくれぇ!」
頭上から救助を求める声がした。
――頭上?
不思議に思いつつ顔を上げると、そこには信じがたい光景が広がっていた。
なんと、森の木々に絡みついていた蔓が若い男の冒険者の体をがんじがらめにし、空中へと吊り上げていたのだ。その先には二メートル近い大きさの赤い花が。
「し、師匠!? あれって!?」
「間違いない……
「なんだってこんなヤツが……」
謎は残るが――考えている暇はない。
このままではあの若者は
「今助けるぞ!」
俺は木の幹を蹴り上げて一気に
「怪我はないか?」
「は、はい……ありがとうございます」
混乱状態にあるのか、青年はボーッとしている。
まあ、あとちょっとで食われそうになるという体験をしたから無理もないか。
俺は彼をおろすと、再び臨戦態勢へと移る。
「ミレイン。これ以上の被害が出ないようここでこいつを仕留めるぞ」
「…………」
「師匠にお姫様だっこ……羨ましい……」
「ミレイン?」
「っ! い、いえ、なんでもありません!」
「? ならいいが……メルファはその場で待機だ」
「でも――」
「大丈夫。俺に任せろ」
親指をグッと立てて笑顔を見せる。
メルファはそれで納得してくれたようで、俺たちから少し離れて戦況を見守るようだ。
「さて……あいつが相手なら、花粉ひと粒すら残すわけにはいかないな」
俺は魔法で剣に炎をまとわせる。
やれやれ、とんだデビュー戦になってしまったな。
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