死神どえ〜っす。❤︎ 恋するリーパー ❤︎

猫野 尻尾

第1話:めっちゃ死神の巻。

異世界からやって来た女の子シリーズです。


ごく平和な日常・・・夜中って言うかもう朝方に近かった。

気持ちよく寝てなんだ・・・そしたら玄関のホーンはピンポ〜ンって鳴った。

僕が起きないでいたら、何度も鳴った。


「もうやめてくれ・・・誰だよ、こんな夜中に」


で、時計を見たら、4時2分56秒だった。


4256・・・死に頃?・・・って読めなくもない。


そのまま居留守を使おうと思った。

で、しぶしぶ起きてドアスコープを覗いたら外に可愛い女の子が立ってる

じゃないか。

女の子が訪ねて来てるのに、眠くても無視するわけにはいかないだろ。

しかも可愛いと来たらなおさらかな。


鼻の下が伸びたままドアを開けてあげた。


「どうぞ〜」


「どうも、夜分すいません・・・こんにちんこ」


「ちんこ?」


「こちら井戸川 万平いとかわ まんぺいさんのお宅で間違いない

でしょうか?」


「はい、万平は俺ですけど・・・」

「外ではなんですから、どうぞ中にお入りください」


「では失礼しますぅ」


玄関の中に入って来た、おネエちゃんは見るからに未成年っぽい。

今んところ17歳の俺より歳下に見える・・・。


ん〜記憶を辿っても憶えのない女の子。

行きつけのたこ焼き屋バイトの美幸ちゃんとも違う・・・うん、顔が

違うからね。

もしどこかで出会ってたらこんな可愛い子僕が忘れる訳ないんだよね。


はて?・・・いくら考えても思い当たる節のない・・・。


「あの、なにかの集金でしょうか?」


「集金と言えばそのようなものです?」


「なんの集金?」


「一応はあなたの魂を頂きに来る予定だったんですけど・・・」


「たましい?・・・僕の?・・・たましい?・・・あはは、待って、待って、

それ面白い冗談ですね」

「金ならいざ知らず魂を取りに来るなんて話、聞いたことないですけど・・・」


「はい、普通はご本人も気づかないうちに黙って頂いて行くんですけど・・・

今回は私の個人的理由でお伺いしました」


「個人的理由?」


「って言うか、君、僕とどこかで会ってる?」


「直接はお会いしたことありませんけど、私は井戸川さんのことよく知ってます」


「僕、君になにかしたのかな・・・それなら先に謝っとくけど・・・」

「その・・・たとえば・・・」


「なにもされてません・・・なにかってエッチなこと想像してるでしょ?」

「お会いしたことなにのにエッチできませんから・・・」


「そんなこと考えてないし・・・女の子と手も握ったことないのに」

「ところでさ・・・君だれ?」


「私、死神どえ〜っす・・・死神の「篠崎しのざき バニラ」と申します」


「・・・・・今、なんて言った?」


篠崎しのざき バニラ」


「その前」


「死神ですけど・・・」


「うそ〜・・・死神って言った?・・・君みたいな可愛い子が?」

「って、ほら死神ってだいたい男でしょ?」

「タロットカードなんかに描かれてる死神ってなんか顔がドクロで黒いフード

なんか被ってて、でもって手に大きな釜なんか持ってる、あれが死神でしょうが?」


「そんなことありませんよ」

「死神ってそんなイメージですけど、フランス、スペイン、イタリアでは女性の

ほうが多いんです」

「私みたいな可愛い死神もいるんです」


(自分で可愛いって言ってるし・・・当たってるけどな)


「で?なに?僕の魂は君に持っていかれるの?」

「持って行っていいか僕に聞きに来たわけですか?」


「聞きに来たって言うか、そのはずだったんですけど・・・予定が狂っちゃって」


「予定?・・・なんの予定?」


「上からの指示で、井戸川さんに寿命が来るから、あなたが処理しなさいって

言われて・・・」

「実は井戸川さんは、今日お買い物に出かけてダンプに追突されて道路に

投げ出されたところを後続車に何度も踏んづけられてグチャグチャになって

ぺちゃんこになって内臓破裂で死んじゃうんです」


「うそ〜それ本当?」

「わ〜想像したくないな〜」

「僕を脅そうと思ってわざとグロく言ってない?」


「いいえ、井戸川さんの運命です」


「それで君が僕の魂を持って帰ろうってやって来たんだ」


「いいえ、あなたの命を救うためにやって来ました」


「ん?救う僕の命を?・・・なんで?」


私、亡くなる人のデータを前もって調べてからお宅にお伺いするんですけど

井戸川さんの個人データを調べてるうちに・・・その〜」


「なに?調べてるうちに?・・・なに?」


「井戸川さんのことが好きになっちゃって」


「・・・・・・およよ・・・それはまた、衝撃の告白」


つづく。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る