第31話

「今日もお薬全部飲めて偉いわね」


 いつもの時間に看護師のお姉さんにそう褒められる
。こんな日々を繰り返している。

このお薬は苦くておいしくないなんて純粋に考えられていたのはいつだったっけ。すっかり慣れてしまったことにちょっとだけ悲しくなる。慣れたくなんてなかったななんて思いながらも笑みを浮かべる。

 

 みんなが安心してくれる方法。笑顔とお礼は何よりの武器になる。

 看護師さんは当然そんな気持ちで笑みを浮かべる私の意図を理解しているので、微動だにしない。場数を踏んでいる人達には無意味だ。


「無理しなくていいのよ。あなたが疲れちゃうわ」

と言われないだけまだいいのかもしれない。

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