第28話

「来たよ、翠。って……どうしたの?」

「え……」

華さんに言われてはじめて気がついた。

私、泣いてる。

「悲しいこと、あった?」

「いえ、何もないですよ。今日も雨だなって思ってただけなのに私なんで……」

「何も隠してない?」

「ないです」

「分かった」

 完全には納得してないだろうけど、華さんはこれ以上追求はしてこなかった。


「早く退院して。よかったらだけど、一緒におでかけしたいな」

「ぜひ!」


 華さんからの素晴らしい提案に私は笑顔を取り戻せた。


 ただ、数時間後の検査を受けたあと、私のこの楽しみな気持ちも無くしてしまった。

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