第55話 封印
「三閃・偃月!」と、アラミスが増えていく敵にも臆せず言う。悪魔が多すぎて、本体のシェムハザに近付けない。シェムハザは、部屋の隅で地下から一部分だけ触覚を出し、うごめいている。
「シェムハザ・・・お前の敗因はな、オレにヒントを出し過ぎたところだぜ」と、アラミスが静かに言った。
(天使と悪魔をお前が言った時点で、俺はガキの頃習った、72体のソロモン王の悪魔の話をマジで信じたぜ。それがお前の敗因だ)と、アラミスが思う。
「終わりだ・・・四閃・白夜月!!」と言って、アラミスが目の前と横の敵を4体、斬り伏せた。
その瞬間、時の動きが止まった。
アラミスと、シェムハザ・・・・その二人のみ、セピア色の空間で動けた。
「ど、どういうことだ・・・!?キサマ、神々でもないのに、なぜ時間の流れを止めた・・・?!?!?」と、さすがのシェムハザがおびえた声を出す。
「やっとおびえてくれたなあ、シェムハザちゃんよ??」と、アラミス。
「この剣はな、一から四まで天空の技を出すと、時を止めることができるのよ、斬った敵を神への生贄に捧げることでな!生贄は、お前のかわいい子分・悪魔たちな!!」と、アラミスが笑って言う。
「そんな特殊能力、私は聞いてないぞ!!」と、シェムハザ。
「そうだろうな、俺が12使徒に選ばれてから、数百年後、神々から目覚めの儀式を受けた時、オレが頼んで、神々の力の一部をもらい受けたなんて、ずっと地下で封印されているお前は知らないだろうな・・・」
「違う、私は神々の中に有能なスパイを持っているのだ!!なのにその情報がないとは!!」と、シェムハザが怒りの表情を見せる。目がないので、乏しい感情表現だが、怒りのオーラが伝わってくる。
「おっと、神々の中に敵が!そうか、じゃあみんなにそう伝えておくな!」と、アラミス。
「準備はいいか?」の言葉の前に、地下に逃げ込もうとするシェムハザを、地下の床ごと斬った。大剣なのでできた。
「アラミス!!」と、その時、地下神殿のずいぶん上の階から、ヅラの叫び声が聞こえた。
「ヅラぁ!!待ってたぜ、5巫女さんだろ??シェムハザならもう倒したぜ!!!」と、アラミスが叫び返す。
「や、やめろぉ~~~~!!」と、シェムハザが本体をあらわし、その触手でアラミスをからめとろうとして叫ぶ。
「もう一度おねんねしな、シェムハザ!!」と、アラミスは剣を何度もふるい、シェムハザの急所を確実に斬った。
1分後、準備が整った5巫女が、神殿の上階から、封印の呪文を唱え始めた。
――こうして、悪神・シェムハザは、無事、昔のように地下に封印されたのだった。
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