第八章 食屍鬼の手に堕ちた都と、アテナ神と、リアンノンと
第44話 5巫女で力をあわせて
第八章 食屍鬼の手に堕ちた都と、アテナ神と、リアンノンと
走っていた6人は、大地が突如どしん、と振動するのを感じた。どうしたのだろう。何度か、地震のような振動がして、6人はハインミュラーを除いて転んでしまった。
「なんだこれは!?!?」と、ハインミュラー。
「ハインミュラーさん!!」と、向こうからシルウェステルが駆けてくるのが見えた。
「シ、シルウェステルさん・・・・」と、ハインミュラー。
「丘からなら見えるが、市街地およびこのハートフォードシャーの国(80平方キロメートル)全体が、グールに襲われているという報告です!!」と、シルウェステルが真っ青になって叫ぶ。
「アラミスさんとロイさんが、丘の近くのグールを斬りに向かってて、バーナードさんが神殿に残っています。5巫女さんの力が必要です、今すぐなんとかしないと!グールは人の影と魂を喰らって、どんどん強くなりますから」と、シルウェステル。
5巫女もなんとか立ち上がり、7人は急いで光の神殿へと向かった。5分ほどで、神殿についた。
「シルウェステルさん!」と、バーナードが、たどりついた一行を見て真っ青な顔で言う。
「今こそ、アテナ神に、いや神々に助けを求めるべき時です!!悪さしてた長老ももういません!!5巫女さんの力で、どうにかしましょう!神々の力が必要だ、我々だけで、この国全体を守るのは不可能だ」と、バーナード。
「できるか、リアン?ヘレンさんたち?」と、シルウェステルが振り向いて、ヘレンとリアンノンに聞く。
「五神の神殿で、とりあえず神々に祈りを捧げてみるわ!私たち一人一人で、それぞれの神殿で、やれることはやってみる。3日間は食屍鬼を遠ざけるぐらいはできるはずよ」と、ゼルフィーネ。
「そうね」と、ヘレンが頷く。
「リアン、光の加護をまだ授けてない人には、授けてくれないかしら。えーと、誰かしらねぇ・・・ヅラさんは行方知らずだけれど・・・」
「ヅラさんには、光の加護を授けたことがあります。ずいぶんと前でしたけど、一緒に丘でピクニックして、過去の話になったとき、元気づけてもらったお返し、ってことで、黄龍の神殿で」と、リアンノン。
「ヅラさんなら長老ごときにやられはしないさ」と、シルウェステルが言った。
「俺は加護をずいぶん昔にかけてもらってる」と、ハインミュラー。残りの5巫女も、全員リアンとは仲が良く、だいぶ昔に加護をかけてもらっていた。
「僕だけですね」と、バーナードが言った。
「じゃあ、バーナードさん、急いで黄龍の神殿へ!任せて下さい」と、リアンノン。
「はい、お願いします、リアンノン。加護をかけてもらったら、僕もドラゴンになってグールを食い止めます」と、バーナード。
人の姿のままグールと戦う人もいれば、ドラゴンになって、グールを食いちぎる人もいた。12使徒それぞれの個性だ。
ゼルフィーネ、リゼティーナ、ヘレン、セレスは、それぞれ朱雀の神殿、青龍の神殿、玄武の神殿、白虎の神殿へ向かった。4人とも、ロッドを手に持っている。
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