第14話 7つの神殿
リアンノンの祈祷文の最後には、民衆から拍手が起きていた。リアンノンは、わりと人気と人望のある大地の巫女であった。アテナ神が「素質がある」と選んだだけある、とみんな言っていた。
「リアン、よくやったわね!」と、すべての儀式を終えて、姉のヘレンがリアンノンの頭をぽんぽん、と撫でて言った。
「ありがと、お姉ちゃん!」と、姉に懐いているリアンノンが言った。
姉のヘレンも、大地の巫女の姉として、御言葉を述べていた。というより、12使徒全員が、式辞や御言葉を述べていた。
「ヘレン、リアンを連れて、もう今日は俺らの神殿の部屋に戻ってくれ。後の片づけは、男性陣がするから」と、長兄のロイが言った。
「頼むわ、ヘレン」と、ヘレンの兄のハインミュラーも言った。
「分かったわ、兄さん」と、ヘレンが言って、5人兄妹で、二人の女性であるリアンノンとヘレンは、連れだって居住区である封印の神殿に向かった。
丘の上・・・アクロポリスと呼ばれる地区・・・には、7つの神殿があった。そのうち、「封印の神殿」というのが、悪神シェムハザを封印するための12使徒の居住区であり、「光の神殿」は、1年に1回、12使徒が国民に姿を見せるための神殿であった。
ほかに、5神の神殿があった。5つの神殿なのだが、それぞれ、「青龍の神殿」「朱雀の神殿」「玄武の神殿」「白虎の神殿」「黄龍の神殿」と呼ばれていた。
居住区である封印の神殿は、ちょっとした小さなお城というか、礼拝堂のような作りになっていた。
12人の選ばれし使徒たちは、そこでひっそりとつつましく暮らしていた。
リアンノンたちと時期は違うが、500年ほど前にこの封印の国にやってきた、新たな女性の使徒である、ゼルフィーネとリゼティーナとセレスの3人で、リアンノンとヘレンとも親交があった。
リゼティーナとセレスは、前世では姉妹であった。
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