第11話

 おお、たか〜い。でも地に足がつかないってちょっと怖いかも。マーヤってほんと優しいよね。私もつい甘えておんぶに抱っこの状態(物理的)になっちゃう。

 あ、マーヤ、よく見ると黒髪の中に少し白髪が混ざってる…マーヤも苦労人だからなぁ、いやその原因が何を言ってんだって話だよね。

 マーヤって何歳なんだろ?クリスティーナの記憶では物心ついた頃からすでに頼れるベテランメイドとしての地位を築いていたけど。まぁ、物心って言っても私まだまだ5歳なんだけどね。

 ・・結婚とかしてない、のかな。マーヤ、仕事ができるし、引くて数多だろうなぁ。いや逆にそれがネックになってそんじょそこらの男じゃ相手できないのか?でも、できるならずっと私のメイドでいてほしいなぁ。もちろん、幸せになってほしいけどね?


 「着きましたよ。今、降ろしますね」

 「ありがとう」

 今度こそ初の家族とのご対面だぁ。

 朝食はちょっと事情(寝坊)があって家族に会えなかったし、

 昼食はクレア先生の授業の休憩時間にマーヤが差し入れてくれたサンドウィッチを食べたから…

 うぅ、サンドウィッチィ、まだ授業は歩き方の練習だけだから何も言われなかったけど、食べてる私を注視するクレア先生の視線が痛かった…何?何か私間違ってるの?なんか言ってよぉ、いや、やっぱり言わなくていいよぅ。怖いから。

 これ、一年後、私生きてるかなぁ?


 あ、マーヤ、ドアもう開けるの?

 ドアの先には…いました。今度こそしっかり家族はそこに座っていました。

 「ティーナちゃん。体調はもう大丈夫なの?」お母様だ!綺麗な銀髪で可愛い系の顔の、え、スタイル良すぎない?

 「はい。もう大丈夫です。…あれ?お父様は?」

 「今日も仕事で遅くなるらしいわ。そんなに仕事が好きなら仕事と結婚すればいいのにね」手厳しいこと言うなぁ。そっか、じゃあ会うのはまた今度か。

 「そうそう、今日は授業にちゃんと出たらしいわね。帰りがけのクレアさんに会ってね、久しぶりに授業にきたって嬉しそうに話してましたわよ」クレア先生っ、本当ですか?先生が私が授業にきたことを嬉しそうに話した?

 「別に、勉強はそこそこで良いけど、ミュースラット家に恥じない様な振る舞いは今のうちから身につけておかないと後で恥をかきますからね」

 「はい、お母様」


 ・・・ミュースラット。今、完全に思い出した。私は王族直属のミュースラット家の長女。家族は両親と私と現在18歳の兄、ビルト。お兄様にはまだ数えるほどしか会ってないらしくて顔もよく覚えてないけどね。

 そして、この国では子供の死亡率の高さゆえ、「12歳までは神の子」とされ、子の健康長寿を願い、また成長を祝うため、節目となる6歳で二分の一聖哲式、が行われる。そして12歳に行われる聖哲式では家名を名乗ることを許されるのだ。だから私は今はただのクリスティーナ。

 

 ・・・完全に思い出しても、覚えているのがこれだけって、情報量少な過ぎない?


 あ、あと一つ思い出したことがあった。



 

 

 


 

 

 マーヤは未婚の30歳。

 ベテランメイドの貫禄のせいか想像よりも若いと感じた私だが、この世界では大年増と呼ばれる年齢だ。

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