ごうやふとり
行き会った者の姿を盗み取る、いわゆるドッペルゲンガーの怪異。これを祀る梲鳩家では、人間の姿が盗まれないよう、無数の紙人形で祭壇を囲っている。
中身はどうであれ人間の姿を盗み、装い、人間の真似をする。
それを幾度か行ってきたため、怪異の中ではある程度の人間性を持ち、会話や取り引きが通じるという珍しい特徴を持つ。
その本質は、自己複製、自己増殖、均一化。狙いをつけた者の姿形、知識と記憶、持ち物などをそっくり写し取り、オリジナルに成り代わろうと行動する。
コピーするものは、オリジナルの姿形だけではなく衣服、過去に使ったことがある道具にまでおよび、それは銃火器やクレジットカードであっても例外ではない。
オリジナルに成り代わった後は、自身がオリジナルとして振るまい、無差別に他者を殺害して自分の姿(コピー元)に上書きして増殖していく。
その際にも、衣服のみならず年齢や背格好といったズレが発生するが、個体数が増えるにつれ、徐々に均質化されていく。
ただし、命を持たないため生きたものを殺すことができない。傷つけることは可能だが、決して対象を死に至らしめることはない、そのような摂理を定められている。
どんなに致命傷にしか見えなくとも、相手は傷相応の後遺症を抱えながら、残りの人生を過ごすのだ。それは、なまじ死んでしまうよりも辛いことになるだろう。
頭を撃たれたなら脳障害か、失明か。元の人格や知性を維持し続けられるのか。臓器の損傷であれば、人工心肺や人工肛門。それでも生き続けなければならない。
ただし、ごうやふとりは一人だけ生者を殺すことが出来る。
それは姿形を盗み取った元の相手、オリジナルである。自分のドッペルゲンガーに出会った者は死ぬ、と相場が決まっているように。
被害を最小限にするには、ごうやふとりによるオリジナル殺害を防ぐこと。耐久力は人間並みなので、物理的に強い者をコピーしていない限りは比較的対処しやすい怪異である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます