第14話 催眠ガスの脅威

夜の帳が下り、神社の境内は穏やかな闇に包まれていた。美鈴彩は一連の戦いからの回復と次なる戦いへの準備で瞑想に耽っていた。しかしその静寂は、再び突如として破られることになった。不穏な風が吹き抜け、その中に混じる異様な香りが彩の警戒心を刺激した。


突然、神社の一角から薄紫の煙が立ちのぼり始めた。その煙は瞬く間に境内を覆い尽くし、催眠ガスと判明すると同時に、彩は意識を保つために苦闘した。ガスの中から、一つの影が現れ、その影は自らを「ドリームマスター」と名乗り、ドエトロ軍団から送られた新たな刺客であることを明かした。


「美鈴彩、お前を夢の中に閉じ込めて、永遠の眠りにつかせてやろう。」ドリームマスターの声は甘く、催眠ガスには彼の声が混ざり、よりその効果を高めていた。


彩は変身し、OSS10として直ちに対抗措置を講じた。彼女は強力な水流を発生させ、ガスを払いのけようとしたが、ドリームマスターは次々と新たなガスを生成し、彩を攻撃した。彩は水の力を使ってガスを分散させる一方で、ドリームマスターの正体を突き止めるために近づこうと試みた。


ドリームマスターの動きは滑らかで、彼の周囲では常にガスが渦を巻いていた。彩は彼に近づくたびに、強い眠気に襲われるが、彼女はその都度、意識をはっきりと保つために水を自分の顔に浴びせた。


遂に、彩はドリームマスターとの間で一対一の対峙を迎えた。彼女は彼が一時的にガスを発生させない瞬間を見計らい、全力で水の剣を振るって彼の防御を突破した。水の剣がドリームマスターを直撃し、彼は驚愕の表情を浮かべながら倒れた。


「この戦いはお前の勝ちだが、また会おう、美鈴彩。次はもっと強力な夢でお前を迎え入れるだろう。」ドリームマスターが言い残し、消え去った。


ガスが晴れ、神社は再び平穏を取り戻した。彩は深く息をつき、ドリームマスターの言葉が心に重くのしかかる。彼女は留五郎とともに今後の戦略を見直し、どんな催眠攻撃にも対抗できるよう準備を整えた。


彩は神社の石段に座り、星空を見上げながら次の戦いに備える決意を固めた。彼女の戦いは、まだ終わっていなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る