第22話 怠け者ねず一休!

「ユーキ!ちょっと来てー!」

 母さんに呼ばれた!一体なんだろう……

「一休ちゃんが太ちゃったのよ……」

「そうなの?確かに捕まえた時より大きくなった気がする……」

「おれっちはわからないちゃ……」

 本人には自覚はないみたいだ。体重を測ってみる。すると……

「50gもあるよ!だいたいネズミの体重は20gくらいだよ……」

「やっぱり太りすぎね!なんとかしないといけないよ!」

「これはダイエットだな!」

 おれと母さんの言葉に一休は

「ダイエットなんて嫌ちゃ!おれっちは太っても気にしないちゃ!」

 本人はダイエットしたくないようだ。しかし母さんはこう言った。

「一休ちゃん!ダイエットしないとご飯減らすよ!」

 一休は食べる事が大好きだ。

「なんでっちゃ……わかったちゃ!ダイエットするちゃ!」

 ダイエットする気になったようだ。





 一休はハムスター達とは違い、一日の大半をケージの中で過ごしている。どうダイエットさせればいいんだろう……そうだ!

「母さん!ケージに回し車入れてみようよ!」

「そうだね!ハムケンちゃん持ってないかな?」

「持ってるけん!3000円で売っちゃうよー」

 高くないか?1000円くらいで買える物もあるみたいだが……

 しかし母さんは

「買っちゃうよー」

 買っちゃった……とりあえずケージの中に入れてみる。

「ダイエットするちゃ!ご飯食べたいちゃ!」

 一休は回し車に入って回り始めた!しかし一分もせずに

「もうしんどいちゃ……」

 と言ってやめてしまった……せっかく買ったのに……

「一休もうちょっと頑張ろうよ!」

「回し車しんどいちゃ!他に痩せる方法ないちゃ?」

「うーん、じゃあ巨大化して運動する?」

「そうするちゃ!」

 ところで、回し車は返品出来ないのだろうか?ハムケンに聞いてみる。

「返品、無理やけん!ワシから買った物は返品受け入れないけん!」

 無理なのか……ちょっとしか使ってないのに……しかしそんなに怒らなくても……




 とりあえず巨大化してウォーキングしてみる。

「歩くだけで痩せるちゃ?どんどん歩いちゃうちゃ!」

 しかし五分もすると……

「しんどいちゃ…歩くのも嫌ちゃ!」

 たった五分で音を上げた。

「もうちょっと歩こうよ!三十分はやらないと!」

「もうウォーキング嫌ちゃ!別の運動がいいちゃ!」

 うーんウォーキングよりも痩せる方法か……そうだ!




 おれ達は市営プールに来た。水の中なら一休でもそれなりに続くだろう。

「水の中は体が軽いちゃ!これなら痩せれるちゃ!」

 そうか!良かった。ちなみに二時間入れるチケットを買ったのでじっくり運動出来るぞ!

しかし十分もすると一休がプールから上がってきた!

「もう無理ちゃ……プールしんどいちゃ……」

「ええー!もう無理なの!?せっかく二時間のチケット買ったのに……」

「やっぱりおれっちにこういうダイエットは無理ちゃ……なにか別の方法はないちゃ?」

 うーん別の方法か……電話してハムケンに相談してみよう。

「そうなら、仕事見つけて働けばいいんよ!仕事なら自然と体動くけん!」

 たしかにそうかもしれない!仕事を探そう!





 おれと一休は毎度お馴染み資材運搬の仕事に来ている。宇宙怪人ネズミだと説明したら簡単に受かった。

 まあ、宇宙怪人ハムスターも働かせてもらってるからな、慣れっこなんだろう。

 しかし一休の働きというと……

「一休!もっとテキパキ動かないとダメだよ!」

 職人さんに怒られるくらい、仕事が上手く出来てない……

「もう嫌ちゃ!」

 一休は小さくなって逃げようとした!しかしすぐ職人さんに捕まってしまった……

「一日くらい頑張れよ!」

 職人さんが檄を飛ばす!しかしこのままじゃ一日持たない!そうだ!

「一休ハムビタンZを飲め!」

 いざという時のためにハムケンから買っておいた。値上がりして1600円になっていたが、買うしかない。

「飲むちゃ!うおおおおおー!!!働くちゃ!!!」

 一休は一日の仕事を乗り切れた!そして一日分の給料をもらった。

「これでおやつ買えるちゃ!」

「あんまり食べたらダメだよ!ダイエットしてるんだから!」

「わかったちゃ!ほどほどにしとくちゃ!」

 本当に大丈夫だろうか?

 ちなみに次の日は一休はピクリとも動かず、ずっと寝ていた。

 やっぱりハムビタンZってやばい薬ではないのか?飲ませて大丈夫だろうか?





「資材運搬の仕事嫌ちゃ!しんどいちゃ!」

 一休はもう行きたくないみたいだ。しかし家に居てもダイエット出来ない。どうしたものか……

「ならうちのコンビニでバイトしたらいいんよ。今なら短時間のバイト募集しとるけん!」

 ハムケンの提案に一休は

「コンビニバイトするちゃ!ハムケン!紹介してっちゃ!」

 やる気になったようだ。

 一休は次の日面接に行った。無事受かった!そしてバイトを一か月続けた。一休は痩せているだろうか?





 おれと母さんは一休の体重を測ってみた。すると……

「60gだよ!一休、体重増えてるよ!」

「一休ちゃん!バイトの給料で食べすぎよ!」

「働いたら食べたくなるちゃ!ダイエットなんて無理ちゃ!」

 一休は結局ダイエット出来なかった。やっぱり本人が強い意志を持たないとダイエットなんて無理だな……

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