第4話
小学校3年生の時、英会話教室に当時1番仲の良かった子と通うことになった。
英語はとっても楽しかった。1回聞けば正しい発音がなんとなくわかって、なんとなくで正しい音を模倣することができた。多分、自分にとても向いていたのだと思う。辛さや苦しさもなく、とても楽しくて、充実していて、週に1回だけのこの時間を、わたしはとっても楽しみにしていた。
けれど、この習い事も長くは続けられなかった。この教室、レベルごとに実施時刻や曜日が異なっていたのだ。わたしは2ヶ月も経たず次のレベルに行くようにと言われた。でも、友達はそうはいかなかった。日本語でも発音が難しい音を持っている彼女は、全く英語の発音ができなかった。彼女が一緒に次のレベルの教室に移れないと知った瞬間、両親はわたしの習い事の契約を切ったらしい。いつも通りに英会話教室に連れて行ってもらおうとしたわたしに、ママは何事もない世間話をするように、不思議そうに「英会話教室なんて、もう不要でしょう?」と言って、それからわたしは英会話教室に通うことはなかった。本当は続けたかったし、友達と一緒じゃなくてもわたしはちゃんと頑張れた。
でも、習い事のお金は全部パパのお給料から出ているから、わたしは強くは言えない。言う資格がない。
その日も、パパとママに強く言えないわたしは、布団の中でぐずぐず泣いた。泣いたってどうしようもないってちゃんとわかっているけれど、わがままを言えないわたしは、泣くしかできない。無能っぷりが嫌になる。
やりたいことがいっぱいあって、でもやらせてもらえなくて、話す前から無駄だって切り捨てられて………、なまじ人より器用な分、独学でどうにかなってしまったから、だから、何にもやらせてもらえない。
人に習いたいって、どこかの教室で徹底的に本場を教わりたいって思うことは、悪なのかな?無駄なのかな?
わたしは、———贅沢ものなのかな………?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます