ラクガキ置き場

むー

示された確率

「確率が見える能力」


「私は…確率が見える。なんの確率かというと…まぁ、あらゆる事柄が起こる確率だ。例えば、さっき君にことごとく弾かれた銃弾。それが致命打になる確率は2%だったよ。ふふっ…低いだろう?でも当たれば勝ちだった。ギャンブラーなんだ、私。」

タバコを取り出し、慣れた手つきで火を点け、少し吸ってまた喋る。

「もちろん私がこの戦いで死ぬ確率も見えてる。100%だ。でもね誤差があるんだよ、この能力には。一度コインで試してみたんだ。誤差はだいたい5%。かなり大きい。だから私は僅かな誤差が生まれていることに賭ける。誤差が生まれているとしても%自体が引けなければパーだが。ギャンブラーなんだよ、つくづくね。」

タバコを吸う。最後の一服のように。

今まで死の確率は見続けていた。日常にも死は潜んでいる。誰だって死ぬ可能性がいつだってある。見え始めた頃はたまにいる死ぬ確率が高い人間を必死に呼び止めて困らせた。確率から逃れることはできない。なるようにしかならない。

「…だから。だから怖くないよ。日常的に肌に死を感じ続けた私に。怖いものは。ない。」

タバコはほとんど灰になってしまった。タバコを捨て、銃に持ち替える。

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