第6話青い夜の青い騎士
ラビィは宮殿を後にして徹夜で町をひとつこえようとしていた。プリンセスのキスをもらったラビィは砂漠だって越えてしまう勢いだ。
そんなラビィだったが急ブレーキをかけた。電灯の下に何か落ちている。だれかが落としたであろうバックだった。届けなければ、ラビィはバックをつかんだ。と同時に同じくバックをつかんだ手があった。見るとそれは黒いゴーストだった。
「きみの?じゃないよね。ぼくは今これを届けだそうとしている。離して。」
けれども黒いゴーストは手を離さない。その黒いゴーストと落し物のバックを取り合いになった。
「落ちてるもんはいらないもんってことだ。だからオレが頂いてもかまわないってことだ。」
不気味に笑いながらバックを引っ張るゴーストに対してラビィはにらんでゆずらなかった。「どう考えたってこれは落とし主がいる。警察に届けるんだ。」
そうラビィが言った瞬間、黒いゴーストはぐわーんとギザギザの大口を開けてラビィにおそいかかってきた。ラビィは銃に手を伸ばした。
でもラビィが銃を手に取るか取らないかの一瞬の間に、サーっと言うくうを裂く音がして、黒いゴーストはヒャーと悲鳴をあげて、フーっと体を散らせて逃げた。
「大丈夫だったかい。」
見ると向こうの青の闇から、槍剣を持って馬に乗った青年が現れた。真っ青な制服で黒馬に乗る彼は夜を護る騎士だと言う。
ラビィは彼に落し物のバックを渡しながら言う。
「あの、ありがとう。これ、落し物です。さっきのゴーストと取り合いになって・・・。かっこいい。」ラビィが目をキラキラさせる。ラビィは制服職にひそかな憧れを抱いているのだった。
「ただの夜警ですよ。ああ、電灯が明るいからって油断しないでくださいね、私たちが見回りをしていますけれど、今みたいなことがある。用心は必要です。手錠うさぎさん。」ラビィは自分の手錠と銃を見てきまずくなる。「僕は・・・あやしいよね。訳ありなんです。銃は旅の護身用。」
青年がにこっと笑う。
「そうだね、あやしい。でもわざわざ落し物を夜警に届ける暴漢にはあったことがないよ。さあ、夜に歩くのは危ない、町まで送ってあげよう。訳ありの旅人さん。」
ラビィは黒馬の後ろに乗せてもらって、青い夜の道を守られながら行った。
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