第4話 異次元空間で水との戦い

カラスのように真っ黒い翼を

生やした悪魔のクロンズと

白鳥のように真っ白な翼を生やした

天使のヌアンテが

呼吸が苦しくて深谷息吹という小学1年生の

霊体を抱えて現実世界から

異次元空間に連れてきた。


お供のコウモリの光宙ヒカチュウ

ハリネズミの微宙ビチュウも連れて、

これから発生するであろうモンスターとの

戦いに控えていた。


前回同様、敵は突然現れる。


広い真っ白な空間かと思ったら、

遠くの方がザバンと水の音がする。


大きな波が押し寄せてくる。


ここは、息吹の想像の世界だ。


水の中で溺れた記憶と、モヤモヤする心が

モンスターとして実体化していく。


誰しもが持つネガティブな感情の

怒りや悲しみがこの空間では

モンスターになってしまうのだ。


大きな波には恐ろしいくらいのギョロッとした目と大きな口があった。


手の形になっている水しぶきが

クロンズたちに襲いかかってくる。


息吹の頭の中は、プールでいじめられた

嫌なシーンが駆け巡る。


思い出すだけで苦しくなる。

呼吸が整わない。


次々と襲いかかる波の力に避けながら。

必死で逃げる。


ヌアンテは

きゃーきゃー悲鳴をあげながら

何をしていたかというとどこから

持ってきたのか波に乗りながら

サーフィンを楽しんでいた。


クロンズは眼中にもいれず

ただひたすらに目の前の

モンスターの倒した方を考える。


クロンズは背中に

苦しむ息吹を乗せながら、

飛び続けていた。


そして指をパッチンとならした。


「しっかりしろ。

 思いっきり息を吐けーーーー。」


クロンズが指パッチンをすると、

魔法がかかり、

息吹が新しい技を使えるようになる。


「「コールドブレス!!」」


波に向かって息吹は深呼吸をして

大きく息を吐いた。

真っ白く、かなり冷たい。


 一瞬にして、その風に触れたところは

 カチンコチンに固まった。

 あたり一面大量の水が押し寄せていた

 かと思うとすぐに氷になり、

 スケートリンクのようになった。

 ところどころ、氷柱ができあがって

 剣山のようになっていた。


 キインという音が響いた。


 氷の剣のように尖った部分が

 あたったようだ。

 息吹の頬から血が飛び散った。


「ねぇ、今の全然効かないみたいだよ。

 水を氷にしても攻撃されたら…。」


 息吹はクロンズに問いかける。


「水をとりあえず凍らせておけば

 止まるだろ。

 てか、あいつら息吹助ける気あるのか。

 サーフィンやってたかと思ったら

 次はスケートしてるわ。」


 「最高じゃない?

  わ、わ。滑る滑る〜。楽しいぃ。」


 ヌアンテはハリネズミの微宙と

 氷の上でスケートを楽しんでいる。

 本来の目的を忘れているようだ。

 氷は次々と襲いかかってくる。

 何個もつららが上から落ちてくる。


「息吹、次はこれにしてみよう!!」


 クロンズはまた指をパッチンと鳴らした。

 

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