第4章―事件編 第38話 AtoB貴金属株式会社(貴金属店店長side)
俺は、ホスト上がりで貴金属店の店で営業をしている。子供のころからホストに憧れ、時計やワインの相場をいつも勉強しており、大体の相場を把握しており、ホストの時に自慢していた。そこそこ売れているホストだったが、年齢も重ねて、若い頃みたいに飲み過ぎる事ができなくなったころ、金目の物の相場に詳しい為、来客していた社長のお客さんの誘いに乗って、貴金属屋で働くことにした。仕事自体楽しいけど、ホスト時代に比べると給料が安いなと思っていた。
最近金の相場が低迷し、あまり会社の景気が良くないと聞いている。会社は数店舗経営しており、自分がいる店舗は、場所柄ブランドの時計や高級ワインの売上比重が高いから、自分がいる店舗はまだ売上はいいが、会社と業界自体あまり景気が良くない。給料も安いままだし、ホストに戻ったほうがいいかなと最近思う。
貴金属店のお客さんで、株の事を教えてくれたり、お客さんを紹介してくれる株屋の佐藤さんと久しぶりに会うことができた。最近AtoB投資会社っていう会社に転職したそうだ。いろいろと人生相談に乗ってくれるから、この後飲みに行こうと誘うことにした。
飲みに行ったときにホストに戻るくらいなら、物の相場がわかる知識を持っているんだから貴金属屋で独立すればと、アドバイスをもらった。そんなことを言われても店を出す資金も商品を買う資金も持ってない。そこそこ売れたホストだが、貯金なんてあるわけがない。共同経営でよければ、資金を融資してくれるって言ってくれたが、お金を出してくれるのが投資会社って怪しい気がする。とりあえず佐藤さんを信じて、投資会社のお偉いさんの話を聞く事にした。
後日、佐藤さん経由でAtoB投資会社の偉い人と会うことになった。会ってびっくりしたが自分より年下の若い方が社長と聞いて驚いた。梅田さんって社長と佐藤さんが打ち合わせの場に出て話をしてくれた。
「今日は忙しい中、瀬川さん来社してくれてありがとうございます。うちの佐藤と懇意にして頂いており、話は聞きました。本当に弊社の支援のもと、独立する気がありますか?共同経営させて頂きますが、それも含めての話となります。」
若い社長さんが、いきなり本題から話し始めた。
「はい、ホスト時代から給料も下がって、だからといってホストでの将来は見えないので、なんとか貴金属店で頑張りたいと思ってます。共同経営も問題ないので支援してください。」
とりあえずまだ迷っていたが、この場で社長さんと会う以上、お願いをしてみる事にした。
「では、支援を前向きに検討しますが、お一人で進めるのですか?知り合いに、・・・えっと川なんとかさんって、います?」
「確かに幼馴染に川瀬君がいます。小売業界で働いており、今回一人で起業するのも大変だから、起業するなら誘おうか悩んでいましたが、なぜ知っているのですか?」
(この人って俺の事、事前に調べているのか?もしくは占いでもしてるのか?やっぱり怪しい会社だな。でも佐藤さんからの誘いだ。一歩勇気を出して踏み出してみるか。)
「わかっていたつもりはないのですが、一人でやるのは大変だから、誰かほかの友人もいるのかなとカマをかけただけですよ。ぐっ偶然ですよ。」
社長は、意外なツッコミにビックしたような表情を見せながら、僕に話した。
「話をしている中で決めました。今週中に川瀬君を誘って起業するので、ご支援の程、宜しくお願いします。」
もう後戻りはできない。急いで立ち上がって直立不動になり、勢いよく頭を下げることにした。
「分かりました。ここで私も決めました。あなたに必要な資金を投資しましょう。それで佐藤さん共同経営の件ですが、佐藤さんが共同経営の経営者になって、この投資の責任持ってくださいね。」
他人事のように聞いていた佐藤さんの方を見て言った。
「・・・ぇ、私ですか。社長、私が責任を持つんですか。」
佐藤さんは、まさか自分がと思い。かなりびっくりした表情で社長を見た。
「当たり前ですよ。責任持ってくださいよ。うちの会社の取締役に就任させますから、今後は取締役会で貴金属買取会社の立ち上げから進捗状況を把握して発表してくださいね。」
「私からもお願いします。昔から知っている佐藤さんと一緒に仕事ができるなら、ウエルカムです。2度目の発言になりますが、私からも再度お願いします。」
僕からも佐藤さんの方を向いて、お願いする事にした。
「はぁ、最後に大きな爆弾を落としてくれましたね。分かりました。責任もって大きな会社にしていきます。」
ため息をしながら、佐藤さんは覚悟を決めた顔をして話してくれた。
「これで一件落着ですね。」
社長の梅田さんは、笑顔で言ってくれた。
社長の梅田さんは続けて言った。
「今後は、全国展開まで考えておりますので、フランチャイズ形式で考えていきましょう。川瀬さんって方は、小売業でチェーン店を多数展開している会社の管理職ですよね。川瀬さんって方にマニュアルを作成してもらって進めましょう。」
「なんでそこまで知っているのですか。とりあえず佐藤さんのアドバイスをもらいながら、川瀬君と二人三脚で頑張ります。」
(若干不気味に思い、考えていることを言い当てられてるような気持ち悪さがあったが、資金を融通してくれるということがうれしく深く考えるのを辞めることにした。)
「そうしてください。後、会社資産の遊動資産は、金でできるだけ保管しておいてください。」
梅田さんは、今後の会社の方針を私に話してきた。
「金の相場は、今低迷しています。一歩間違えれば資金に穴をあける事になりますが、よろしいのでしょうか。」
最近ずっと金の相場が低迷していることを心配になった。
「問題ないです。金の相場は今が底です。上げ底なので問題ないのとドンドン金を買い占めて問題ないですよ。もし資金が足りなくなったら、銀行の貸金の保証会社となるので心配しないでください。」
「分かりました。ブランド品の相場はわりと上下変動激しく在庫に抱えにくいですが、金の相場は市場価格が明確ですから、上げ底ということでしたらわかりやすいですね。社長の言う通り進めていきます。」
かなり疲れたが独立する事で意思が固まって前に進むことにした。
後年、「買取王ABS(エビス)」は、フランチャイズ店含め800店舗。他にもおもちゃやトレーディングカードを取り扱う「買取おもちゃ王」フランチャイズ店含め300店舗も立ち上げ複数ブランドにて展開する事になる大手貴金属買取会社が誕生することになるのであった。
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1999.3 投資会社立ち上げ
1999.4 投資会社 名古屋駅前に本社移転
1999.8 不動産会社買収
1999.9 システム部門立上 システム開発開始
1999.10 薬局/病院資本参入
1999.11 病院/専門学校買収
2000.4 本社移転と決算
2000.7 貴金属会社立ち上げ
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