第4章―事件編 第36話 個人資産管理会社 【2000.5】
さて、プライベートカンパニーってかっこいい名前だが、資産管理会社を立ち上げる事ができた。
前述通り、“株式会社松竹梅“としている。
収入源は、AtoB投資会社の持ち株会社の立ち位置にしたため、AtoB投資会社の配当金を主な収入とした。
最初は、コンサルタント料として一定額をAtoB投資会社から頂く予定だったが、何もコンサルしてないのに国税庁から監査されたら、困るので正規に配当金を主な収入源とした。
あとは、不動産会社とは別に投資会社の所有土地を管理する会社としての位置付けを考えている。
とりあえず資産管理会社としての立ち位置にするので、急いではいないが実際の管理する人を探さないといけないな。
管理する資産も特に今はないから、僕のマネージメントをしてくれるようなポジションになるけど、俺の同年代はみんな大学生だしな。誰かいい人はいるのだろうか。同級生と一緒に仕事やると遊びの延長線になり、公私の切り分けが難しいから基本、ダメだろうな。
よし、キミに決めた。ってどっかの世界のポ〇モンみたいなことはないか。こんな若造に人生を委ねてくれる人ってそういないだろう。
ふと思い出したが高校受験の時、大学生を家庭教師に雇い勉強をしていた。高校入学後、家庭教師を雇うのは終了したが、後日家庭教師をしていた大学生が、名古屋国税局の査察官に就職した事の報告に家を訪れていた事があった。かなり驚いたことを覚えている。ちなみに英語を教えてくれていて、英語を使える仕事に就きたいと言っていた気がするけど、安定した職業に就いたなと思った。
税に詳しくて英語できて俺の必要としている項目に当てはまるやん。一回ダメ元で誘ってみるか。
連絡は取れたが、さすがにダメだった。引き続き誰かいないか、暇なときに探してみよう。とりあえず急ぎの案件ではないので放置。
そんなある日、不動産を任せていた一郎さんから相談を受けた。
「不動産事業はうまくいってるが、規模が大きくなるにつれてやはり問題が出てきたよ。」
「何の問題ですか。あまり想像ができないのですが。」
一郎さんに任せておけば問題ないと思っているので、どんな問題か想像ができなかった。
「今までは土地の売買などを主体で運営してきたが、新しくマンションなどを立ち上げて建設を含めた運営に変えていく中で人が住むっていうことは、そこに住む住民同士のトラブルっていう眼に見えないトラブルが増えてきたんだよ。」
「たしかにマンションを管理するということは、人と人のトラブルは増えてきますね。定年前の支社長の時代はどうされていたのですか。」
「定年前の前職の会社の時は、トラブルに対応する専門の部署があったからそこと相談しながらやっていたよ。」
「では、同じように部署を立ち上げればよろしいではないですか。」
「そんな仕事は率先してやりたい人なんていないだろう。仕方ないな。あの人にでも相談するか。」
「あの人って誰ですか。なにか考えでもあるのですか。」
「あー、愛知県警に頼んで対応できる人を天下りしてもらうんだよ。」
「警察の天下りですか。」
「警察って民事不介入だが相談事などはプロだからな。定年近い人って組織の中でいづらくなり、わりと転職を考えたりしているんだよ。社長が問題ないと言ってくれたら、お世話になった県警の人に話を持っていって、何名か天下りしてもらうよ。定年退職した人を数名と警察を辞めざるをえなかった人を雇うわ。」
「警察の天下りってそういうところで有効なんですね。自動車学校や警備会社とかばっかりと勝手に思ってました。」
後日、一郎さんから複数名が一緒に転職をしてくれる旨の内容を聞いた。愛知県警幹部の方を中心とした親族数名らしい。理由を聞いた所、最近親族の一人に不起訴になったものの逮捕された方がおり、親族含めてみんなの警察組織での立場があまりよくない状況になったので、今回の話を渡りに船として、親族含めて転職を希望したらしい。親族に不起訴とはいえ、逮捕された人がいたらすぐに組織中に漏れて、仕事に支障がきたしてしまう警察組織って大変だなと思った。社内に守秘義務はグレーな位置づけで皆さん噂好きである。
複数名転職とのことで、親族の一人には、投資会社の監査役になってもらい。他のメンバーには不動産のトラブル対応部署に配属してもらった。監査役に適任者も添える事ができたので一石二鳥と感じた。
そのついでに社長なら、電車通勤でなく車での送り迎えが、セキュリティー・信頼・ブランドイメージからも含めて必要と一郎さんに言われた。
一郎さんも不動産会社を担当しているため、一郎さんの分も含めて2台リースする事を考える事にした。フェラーリなどを乗ってみたい夢はあるが、高級スポーツカーなどは一歩間違えれば、税務署から経費計上できないと指摘を頂くかもしれない。よっぽどじゃない限り大丈夫と思うが、指摘を受ける確率があるなら諦める。
今回は国産車のセンチュリーをリースする事で進める事にした。僕が基本部屋に引きこもっているので、社有車を使わない間は、会長の移動に使ってもらえば、そんなに開く時間はないと思う。
これが贅沢ってことかな。まぁ仕事で必要なだけだが。
ちなみに自分はまだ運転免許を取ってないが。取りに行く必要があるのかな。免許合宿行くのも昼間の時間帯は避けたいな。またどうするかまた考えておくかな。
車2台のため、運転手も2人ほど雇うことにした。採用担当者に話した所、運転手派遣会社に委託すればいいのでは提案を頂いたが、まぁあまり深く考えずに正社員にて雇用で進めてもらうことにした。
これで毎朝、パジャマで会社に行って、会社でスーツに着替える事ができる。
思ったことを口に出してしまったようで一郎さんに
「社長のイメージを壊さないように!ちゃんと着替えてから出社してください。」
と怒られた。
普通にインターネットでググったら、
質問:パジャマで出勤してもいいですか?
ベストアンサー:はい、全裸に比べたら断然紳士的です。
どんなけやねん。
はい、私はちゃんとスーツを着用して、会社行きます。
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1999.3 投資会社立ち上げ
1999.4 投資会社 名古屋駅前に本社移転
1999.8 不動産会社買収
1999.9 システム部門立上 システム開発開始
1999.10 薬局/病院資本参入
1999.11 病院/専門学校買収
2000.4 本社移転と決算
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