クイーンズ・ギャンビッド:リミテッドシリーズ

「クイーンズ・ギャンビッド」

リミテッドシリーズ(アメリカ)


 私は囲碁を打つんですよ。今はもう碁会所に通ったりしてないんですけどね。


 試合の緊張感が大好きだった私は、昼休憩のときに弁当が食べられなくなるほど喉が固まるくせに、そして弱いくせに、変な汗をかきながら碁盤に向かったものです。


 この作品はチェスの物語ですが、試合狂というところがまず私と一致します。そして女性であることも。それから主人公を待ち受ける苦難が私にも覚えがあって、共振に共振を重ね、しかもチェスの世界において疑似的にスカッとするという……。


 もう三回くらい観ました。ネトフリのリミテッドシリーズですけどね。


 俳優さんたちの演技、本当に「いそう」なんですよね。現実より現実らしいです。


 囲碁、将棋、チェス、なにがしかのボードゲームを楽しんだことのある方はきっと、この作品の雷に打たれると思います。

 試合に出たことがなくても、この臨場感をぜひ味わってほしいです。


 余談になりますが、私は芸術作品において、人間描写を現実そのままにやるだけでは劇的さについて物足りないと考える派なんです!

 人物の癖を前面に出して、一本のロープを綱渡りさせるように話を組んでいくやり方をマスターしたいと思っておりまして、その点からも本作は非常にためになりました。

 なんでもない人間たちの特徴をそれとなく強く描き、唯一無二の人間として登場させる、しかしスーパーマンにはしない。これはもうセンスの問題かもしれません。しかしそれで終わらせず、どうしても、私も、その力が欲しいと思っています。

 もちろん同じものを見ても感想は人々の脳の数だけブレるものですから、徹頭徹尾、同じものを感じたり、出来上がったりはしないでしょう。逆に、同じだとつまらないくらいです。私はその違いを愛しています。


 これを見てくださっているあなたは、一体どんな世界を見るでしょうか? 例えば道端の花に、アスファルトに、テレビの隅の丸みから……?


 ぜひそれが知りたいです!

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