光らない君へ
======== この物語はあくまでもフィクションです ========
============== 主な登場人物 ================
戸部(神代)チエ・・・京都府警警視。東山署勤務だが、京都市各所に出没する。戸部は亡き母の旧姓、詰まり、通称。
神代宗佑警視正・・・京都府警東山署署長。チエの父。
船越栄二・・・東山署副署長。チエを「お嬢」と呼んでいる。
茂原太助・・・東山署生活安全課警部補。チエを「お嬢」と呼んだり、「小町」と呼んだりしている。
楠田幸子巡査・・・チエの相棒の巡査。
小雪(嵐山小雪)・・・チエの小学校同級生。舞妓を経て、芸者をしている。
白鳥純一郎・・・チエの許嫁。京都府警勤務の巡査。実は、大前田警視正の息子。母の旧姓を名乗っている。
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※上賀茂神社とは、賀茂別雷大神(カモワケイカヅチノオオカミ)を祭神とする京都最古の御社です。神山に神が降臨したのが紀元とか。多数の重文棟を含む境内は世界文化遺産に認定されています。
午後1時。上賀茂神社。
“What are you doing here!!”
入り口付近で、リュックから荷物を取り出す外国人がいた。そばには、カメラマンの外国人がいた。
荷物はペイント缶だった。チエは、そのペイント缶を素早く開け、カメラマンのカメラにかけた。
「何をする!」「公務執行妨害で逮捕します。日本語分からない振りは止めてね。黙秘権なんか言わんでも、知ってるよね。」
チエは、小雪の芸者ネットワークで、『迷惑系New tuber』 が下見していた事を今朝知って、楠田や茂原達と張り込みをしていた。午前中は、案外人が多い。それで、午後から張り込みをしていた。
午後2時。東山署。取り調べ室。
船越は、簡易なボディチェックをして、確認した。
「バラさん、今回は、『股間』の被害はないみたいやな。」
「まあ、私が側におったから、やりにくかったんでしょう。カメラマン君は足払いかけられたみたいやし。」
2人の会話を無視して、男は「弁護士を呼んで下さい。」と言った。
すると、「呼んだ?君の弁護士がいるなら交替するよ。」と、外国人に見える弁護士が入って来た。
「弁護士のロドリゲスです。帰化したから日本人。ちゃんと日本の弁護士資格があるよ。イタリア系アメリカ人?イタリア語苦手だからさ、日本語でいいよね。」
ロドリゲスは、自分の名刺、ペイント缶の写真。さらに、ICレコーダーを置いた。
茂原は、居酒屋での会話の録音を再生した。
「ドラマの撮影に来たりする、有名な神社。源氏物語も関係しているらしい。ライブで頼むよ。」
チエは、小町の芸者仲間が録音した内容を聞いていた。
だからこそ、カメラマンに足払いをかけてカメラマンのカメラにペイントをかけたのだ。
「上賀茂神社のどこにかけようとしたの?怒らへんから、ゆうてみ?」と、船越が言った。
「この場合、黙秘権は損をするよ。証拠あるし。誰かにやらされたんなら・・・な訳ないか。」
ロドリゲスは、さっさと出て行った。
「逮捕した女性警察官と交替する?『暴れん坊小町』と。わしらは、廊下で待機するから。」
そこへ、チエが缶コーヒーを2個持って来た。背中には何故か『鞭』があった。
船越と茂原は缶コーヒーを受け取ると、黙って出て行った。
「さあ、2人っきりや。思いっきり声上げてもええで。」
被疑者の男は不吉な雰囲気を感じ取って、ドアを叩いた。
「だ、誰か・・・。」
午後2時半。取り調べ室の外の廊下。
「僕って、外人に見えましたか?」と白鳥が言い、「ああ、大丈夫。被疑者は動揺してたからな。」と、茂原が言った。
「お嬢は、上賀茂神社と聞いて、カンカンになってたからなあ。何せ葵祭の斎王様やし。」と、船越は笑った。
午後7時。神代家。
チエが料理した、目刺しメインの夕食を終えると、「何分で落した?」と神代は尋ねた。
「5分。後でバラさんがパンツ渡してた。ちゃん、ご褒美は?」
「しゃあない、子供やな。」
そう言って、神代はチエを『お姫様だっこ』をして、風呂場に移動した。
「ちゃん、ちゃん、ちゃんばらりん」とチエは歌い出し、風呂場に反響した。
―完―
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