凄腕のコーチがやってきた23
俺は灯、拓斗が達也、快は智樹、美香が慧、高宮コーチは貴についている。
拓斗のプレイについて皆で考える時間。
高宮コーチは、拓斗がレインアップシュートを打とうとして、苦し紛れのパスをした場面で、実はレインアップシュートを打てたと言う。
俺は頭で再現してみるが、わからない。この場合、達也がしつこいディフェンスをしていて、とてもレインアップシュートができる状況ではなかったと思う。
ここで、美香が口を開いた。
「拓斗のオフェンスの位置じゃない?」
美香はそう言って、再現する。
達也は真正面にいて、確かにタイミングをずらして、ブロックに入った。
「このとき、快にパスを出そうとしても、無理があった。達也が壁を作ってたから。でも、ほらっ、達也のここ。ここからなら、スーッと入ってレインアップシュートができた」
美香がやりながら説明する。
美香がここからと言った場所は、達也の脇の下だ。
あぁ、そうか、ウィークポイント、つまり弱いところあったんだ。達也の脇が空いている。達也の脇腹をくぐるようにして、ぶつかるようにいけば、レインアップシュート行けたな。
俺は納得した。
「そういうことだ。このチームは決して身長が大きいわけではない。となると、いかに速さで勝負できるかだ」
高宮コーチが言った。
「さて、5対5、再開しようか。あっ!言い忘れてたけど」
高宮コーチは急に手をポンと叩く。
なんだ? 言い忘れたことって。他にもまだあるのか?
「股関節や肩甲骨を使えと言ったが、股関節や肩甲骨を使うときは脱力してからだ」
脱力? どういうことだ?
「力を入れていいのは、
丹田? 俺だけでなく、皆が初めて聞く言葉でキョトンとしていた。
「丹田は、お臍から指4本下のところにある。ここは体の中心。ここに集中させると、体が動きやすくなるだけじゃない」
高宮コーチは丹田を触る。
丹田って体の中心なのか。でも、体の動きだけではないってどういうことだろう。ますます、わからなくなった。
「丹田は全ての気が集まるところ。丹田に集中させると、集中力も増すし、落ち着きを取り戻せる。試合中はどうしても焦ることもある。そんな時も丹田を意識するんだ」
高宮コーチは説明すると手を叩く。
「さあ、5対5の続きをやろう!」
俺たちは5対5の練習を再開した。
高宮コーチが丹田のことを話したから、俺は、丹田を意識して集中させることにした。
練習時間2時間。今日の練習が終わる。結局、丹田を意識してみたけど、感覚がわからないままだったな。でも、たった2時間なのに充実した時間だったから不思議だ。
家に帰った後も丹田のことが気になって、すぐに部屋にこもる。
「あっ、ちょっと、樹!」
母さんの声がしたような気がするが、それよりも、丹田が気になり、制服のまま、丹田のことをググる。
丹田のことを知って、俺は驚いていた。今まで、そんなに意識してなかったなぁ。
丹田からエネルギーが出るんだ。凄いな、丹田って。極めると無駄な力が抜ける。また、動きが読みやすくなるのか。
丹田ってストレスにもいい、身体にもいい。パフォーマンスも良くなるし、無駄な力が抜ける。なにこれ? 丹田のパワーというべきか。
丹田のことをもっと調べて丹田を極めてみたいな。
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