第25話 自分たちにできること
ダークネスとの戦いが終わった。疲弊しているシフを気遣い、クラウドの提案で、休める場所を探している、シフ、クラウド、ミリア。
とはいえ、ほとんど焼け野原となっている。なかなか休む場所を探すのも難しい。
それでも、数分歩いてようやく宿屋に辿り着いた。
エルザードとダルの国が占領され、ゴルという国の支配下となった。本当はしんどくて苦しい。そんな中でも人々はなんとか復興させるために奮闘している。
シフたちが見つけた宿も、まだ、完全ではないが、復興させようと再開したばかりだった。
「悪いな、まだ、完全ではないから部屋もすべて用意できるわけじゃないんだ」
宿の店主が申し訳なさそうな顔をしている。
「いいよ、二部屋あれば十分。本当はしんどいだろうに、無理言って、こちらこそ悪かった。でも、前向きな姿に勇気をもらえるよ。ありがとう」
シフは丁寧にお辞儀をした。
「いやいや、顔を上げてくれ。こっちこそ、来てくれてありがたいんだ」
店主は慌てる。そんなに丁寧にされたら、こっちまでどうすればいいか、わからなくなる。
無精ひげを撫でながら困惑する店主を見て、ミリアは思わずクスッと笑った。困惑する姿が面白い。
人々も国が統合して、支配下にされて苦しんでいる。それでも、前向きに復興させようとしている姿に、クラウドは胸が熱くなる。
「俺らもそんなに
店主は心強い言葉を口にした。
その言葉にシフ、クラウド、ミリアは前向きな気持ちになった。
「支配下に置かれて、不自由になっているのは確かだけど、本来、自分たちで切り拓くこともできるはずだ」
店主は驚くほど前向きだ。確かに支配下であっても自分たちでできることはある。
自分たちでできることやると決めて前向きに生きる人々もいるということに、シフは安心した。
支配下となって希望をなくして、心を傷つけられている人々も多い。絶望的になっているのだ。
「ありがとう、泊めてくれて」
シフは改めて店主に感謝した。
チェックインの後、店主が部屋を案内してくれた。
「では、ごゆっくり」
店主は部屋の鍵を渡しながら言う。まだ、仕事でもあるのか、すぐに去って行く。
部屋は二部屋しかないので、クラウドは1人、シフとミリアは一緒の部屋だ。
シフはシャワーを浴びて、すぐにベッドにドサッと仰向けになる。相当疲れていたのか、すぐに夢の中へ落ちていった。
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