第5話 ゼウスの襲撃
ゼウスは1人で2人を相手するのは、きついなぁと言いつつ、シフとクラウドを一気に片付けようと、長剣を振りながら、駆け抜けてくる。
シフとクラウドは同時に真上に跳躍する。
クラウドは跳躍した後、ゼウスの背後へと移動し、大剣を振り下ろした。
ゼウスはクラウドの気配に、すぐに振り返り、長剣で大剣を振り払った。
刃がぶつかる音が鳴り響く。
振り払われた大剣をそのまま、まっすぐ伸ばす。クラウドは、肩に大剣を突き刺そうとしていた。
しかし、その前に、ゼウスが大剣を持つ手首を掴んだ。クラウドの大剣を持つ手が緩む。その一瞬をゼウスは逃さなかった。
クラウドの体が宙に浮き、ゼウスが手を離した時には、背中を叩きつけられていた。
「っ!」
クラウドは左目を閉じる。痛みを感じながらもゆっくりと起き上がる。
起き上がる様子を見ながら、ゼウスはシフに目を向けた。
シフの胸に長剣が突き刺さろうとしている。細剣で振り払うには間に合わない。無意識に足が出て、ゼウスの手首を蹴った。
ゼウスの手から長剣が落ちる。すぐに長剣を拾うときを狙って、シフは鳩尾に拳を叩きつけた。
鳩尾にクリーンヒットしたゼウスは咳き込んだ。体のバランスを保つことができず、尻もちをつく形となった。
「こんなに苦戦するとは思わなかったぜ」
ゼウスはフッと笑った。何故だか嬉しそうだ。というより、痛みに快感を覚えているような雰囲気だ。
「何をそんなに嬉しそうに」
シフはゼウスの様子を見て呆れている。
シフの呆れ顔を見て、ゼウスは指をポキポキ鳴らす。長剣を持ち直すと、弧を描くようにして振り回す。
「っ?!」
長剣からは炎が燃え上がった。その長剣で横なぎにして、シフの腹部を切り裂く。
シフは細剣を地面に叩きつける。細剣をバネにして、棒高跳びのように跳ぶ。細剣をしっかり握ると、真上から、ゼウスへと振り下ろす。
ゼウスはニヤリと笑う。気配を消して、シフの背後へと近づく。背後からシフの首に手を回し、長剣を頬に当てた。
「……」
シフの頬を長剣で軽く切り裂いた。血がポタポタと垂れてくる。その血を嬉しそうに見つめるゼウス。
ゼウスは長剣で体のラインをなぞるようにして、動かしていく。そして、背中から胸にかけて勢いをつけて貫いた。
「……っ!!」
シフは、なんとか身をよじり、ゼウスの手から逃れたものの、胸を押さえて、肩で呼吸をした。
胸から脇にかけて、赤い液体が流れてくる。次第に意識も薄れていく。膝をつき、しばらく、呼吸を整えていたが、シフは倒れて意識を失った。
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