第16話 偶数月
◇
誰が見合って見合ってと言うのか?
出来ることなら世界でいちばん綺麗でかわいくて美しくて賢いウィラの顔を、至近距離で見合って見合ってこそが、至高だから No smo KING(横綱不在)の大関相手は勘弁していただきたい。
エリザベス・デビッキとブリー・ラーソンを足して二で割ったハリウッドセレブのような、超絶美人なナギ姐も最高だ。
一見するとクールでミステリアスな雰囲気のあるクソチビポメ柴こと、ヒナコ・カザミの近眼故の眼鏡越しから刺すような鋭い視線が、溶けていくようにほどけていく様もまた美しい。
北欧系の金髪碧眼のサザン・ベル、ジェニファーとのホットな時間も最高だ……よし、むさ苦しい大関との見合って見合ってをいつまでもやる訳にはいかない。
大関を土俵のような魔方陣からどうやって退散させるか、考えてみようか!
まず、取り組みにあたって足りないもの……そう、行司が不在であり、横綱不在(No smo KING)以前に、相撲として競技が成立しない故の物言いが成立する!
よって、俺は大関と戦わなくてもいいって訳だ!
これぞ戦わずして勝つ! 孫子の兵法の基本だね!
と言うわけでこのフロアは攻略……という訳にはいかないらしい。
どうやら次の階層の扉が開く条件として、形式上大関と戦わなければならず、試合放棄は今場所欠場扱いになるため、こちらは不戦敗となる訳だ。
ならば私にいいアイデアがある……ちょうどこの前、ハローワーク(ギルド)の前で見張り番をしていたティターン族(巨人族)の兵士に、携帯端末のようなもので連絡を入れれば、ちょうど非番なので仲間を引き連れて駆けつけてくれるらしい。
ご丁寧に彼を含めて45人、エステライヒ(東の国)軍だけに、格はこちらの方が上だ!
この時点でこちらの勝ちが決まったようなものだ。
向こうの幕内も勢揃いしたところで開幕!
初日から千秋楽までおおよそ二週間、このフロアに拘束される訳にはいかないからどうしたものか……。
「トラチヨ、本場所は奇数月だけや! 今は偶数月やからやらんでええやろ!」
お、流石世界でいちばん綺麗でかわいくて美しくて賢いウィラだけあって、とっても博識だ!
つまり……ノーゲーム!
クリア条件を達したことで、次のフロアに進めるって訳だ!
そうだな、今日のところはちゃんこ鍋の予約をするから、Fランク依頼の攻略後、貸し切りでどうだい?
「ごっちゃんです!」
よし、交渉成立だ。
横綱降臨は二場所優勝してからにしてくれよな?───。
◇
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます