ゲーマーたちの世界救出クエスト
あつかち
第1話 ゲームスタート!
レベルアップ‼
ゲーム機からの音があたりに響き渡る。
「よっしゃやっとレベルカンストした。でも、まだこいつ昨日買ったばっかなんだよな…裏ボスのRTAでもやるか」
そんなことを言いながらデータをセーブしてると
「玄馬。これからカドショ行こうぜ!」
後ろから誰かが飛びついてきた。
振り向いてみると、そこには工藤がいた。
「なんで俺がついていかなきゃいけないんだよ…俺家帰ってRTAしたいんだけど」
「しゃーないだろそろそろ俺のやってるカードゲームの公式大会あるんだから」
「じゃあ一人でやれよ」
そんなやり取りをしてると
「天井まであと三十連。けどもうジェムはない。でもここで課金をしたら来週から始まるコラボガチャにつぎ込めない。どうしよ…」
小さな声でぶつぶつと言いながら歩いてる人がいた。こんなことぶつぶつ言うやつ、俺たちの友達に一人しかいない。
「あれ、我宮さんだよね?」
「ああ、舞花だな。おーい、舞花~!」
すると、工藤の声を聞いて我宮さんがこっちを向いた。
「あ、堀井君、工藤君」
名前を呼びながらこっちに来た。
「ねぇねぇ、このガチャ天井まであと三十連なんだけど…」
「ああ、もう知ってる。独り言めっちゃ漏れてたぞ」
「へ?」
「なんか我宮さん、いつも独り言大きいよね」
すると、我宮さんは真っ赤になった顔を顔を手で隠した。
「あ、全員集合してるじゃん」
するとまたもや一人の女子がこっちにやってきた。
「全員揃っちゃったよ…」
「永夢。今日はセッションないのか?」
「うん。卓メンの一人今日から修学旅行らしいから」
「そうか、じゃあカドショ行くぞ~!」
「わかった!」
「あ、はい…」
え?皆行くの?
「玄馬も行くよな?」
いやこれもう拒否権ないやん…
「分かった。行くよ」
この三人とは高校に入学してからの友達だ。全員ジャンルは違えどゲームが大好きで、二年生になってクラスがバラバラになってもこんな感じにあったりしている。
「そういえば、カドショで何買うの?」
「今日から発売の拡張パックに入ってるカードが俺の使ってるデッキの初動展開にめっちゃ使えたりするからそれ目的で行く」
「あ、ちょっと行く途中でコンビによっていい?」
「いいけどどうして?」
「課金用にカード買う」
「金あるの?」
「ギリギリ」
「お前バイトしろ」
「周回の時間なくなる」
「で、永夢と玄馬はスマホ片手に何やっとんねん」
「キャラシ制作。戦闘特化のやつこの前ロストしちゃったから」
「裏ボスにレジェンドソードの必殺技を撃ってクリティカルが出たときのダメージ量計算」
「うん、わからん!」
まぁ、こんな感じで全員ゲームは好きだがジャンルはバラバラなので話が通じないことなんてザラにある。
「じゃあ、さっそく行くぞ」
そうして俺たちは学校を出た。
「で、カドショってどこにあるの?」
「五駅先だね」
「は?」
「え?」
「ふぁ?」
全員が驚いた。
「ん?どうかしたか?」
「交通費、出せよ…」
そんな会話をしてると
ドンッ
曲がり角のところで誰かとぶつかってしまった。
「あ、すいません…」
そう言いながら顔を見た。
いや、正確には ”顔があるはず場所” を見た。
「え?…」
その人、いや、人かどうかも分からない。顔はない。服は着てなく赤くさびたような色をしている。背は近くの電信柱の半分ほどある。そして手が俺たちと比べてやや細長く、指先がとがっている。そして、片手には
血まみれの人の顔を持っていた。
「SANチェック、する?」
秋山さん、こんな時にものんきなこと言ってるよ。でも、声が震えてる。
「逃げるよ」
俺はそう言って走り出した。みんなもそれを合図に走り出した。
「おいあいつなにもんだよ」
「わからない。けど、絶対相手にしちゃいけない奴だよね?」
「絶対そう」
すると、逃げた方向にあった曲がり角から人が飛び出てきた。
「ああ、俺知ってる」
「俺も」
「私も」
「もう定番だよね」
その人、いや、人型の何かはこちらにゆっくりと近づいてきた。そいつは頭ことあるが、背は電信柱の半分ほどあり、全身が赤錆びた色をして、服を着てない。そして、こいつの手、いや、手はないといった方がいいかもしれない。手そのものが槍のようにとがっていた。
後ろを振り向くとそこには顔がない奴がいる。
「完全挟み撃ちだな」
こいつら、俺たちを殺す気だな。本能が言っている。こいつらは強い。格闘技のプロでも勝てないだろうな。ましてはゲームばっかの運動不足の四人なんて鴨でしかない。
終わった
全員がそれを覚悟した時だった。
ピコピコピコ…
俺達の片腕に蛍光緑に光る無数の0と1が巻き付いた。それはだんだんと形を作っていき、最終的に腕時計のような形になった。
「え?これは…?」
そして、強く光ったかと思うと、左腕には腕時計が巻かれていた。
そして突然、俺の脳内にいきなり、この時計の使い方、そして戦い方が。
俺はみんなの前に出た。
俺がやる…
俺は腕時計の文字盤のカバーに指で触れた。すると蛍光緑に輝きだした。
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