異世界召喚はダックスフンドで
イヌニクキュー
第一章 召喚編
プロローグ
会社からの帰宅途中、一杯やるために居酒屋の暖簾をくぐってから数時間。
俺は今日も今日とて、不確かな足取りで家に帰宅していた。
特にこれといった特徴も、特技もなく、ただ時間の流れに身を任せて人生を放浪し、気づけば社畜だ。
自身の生き方に後悔をしていないと言えば嘘になるが、だからといって俺はこの生活にはそれなりに少なくとも満足していた。
そう、満足していた。過去形だ。
俺の唯一のかけがいのない愛犬がいなくなってからというもの、俺の中でこれまでの後悔が押し寄せてきた。
もっとこうしてばおけば良かった。あるいは、しなければ良かった……とか。
玄関を開けても、俺を迎えてくれる人はいない。今までは愛犬のダックスフンドが尻尾を振りながら出迎えてくれていたのに。
俺ぐらいの年齢ともなると、本来なら家族が出迎えてくれたりするんだろうか。
「虚無だな」
俺の哀愁漂う残念極まりない独り言に、反応を示す者はもういない。
「ん、なんだ……?」
視界が、霞んだ。
老眼か? な訳あるか。歳は取ったがまだそんな年齢ではない。
光だ。
部屋のフローリングが光っている。
光が強くなり、俺は思わず目をそばめ、視界を腕で覆った。
魔法陣である。
「おいおい、マジかよ。やっ……」
やばい。
そう思う頃にはもう、意識が途切れていた。
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