匂い

人が行き交う繁華街

ひとりでぽつりぽつりと

歩いていた


飲食店の裏口で

ダクトから吐き出される

油っぽい匂いが

体の中に入り込んできた


飲食店で働きはじめたころ

人間関係で苦しんだ


何をやってもうまくいかなくて

何をやっても怒られた


過ぎたことだと思っていた

匂いを嗅いで

嫌な気持ちになったのが

なんだか不思議


毎日が辛かったはずなのに

今では別人のことみたい

それも不思議

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