夜がないている
途方もない疲労感とわずかな充足感
そして どうしようもない不安が包み込んでいる
仕事終わりの火照った身体を
霧のような小雨が冷ましてくれる
赤信号で立ち止まる度に
耳元で囁かれる
車の通りすぎる音
風が吹いて 葉が擦れ合う
水は絶えず滴り落ちている
夜の静けさが心地よい
土手沿いの帰り道で
気配を感じる
赤い提灯が妖しい屋形船
橋の下で 身を寄せ合うカップル
ささやかな虫の声
夜の切なさが心地よい
微かな潮の匂い
とっぷり とっぷり
息をするように小さな波が立つ
夜がないている
どうしようもない不安が
渦を巻いて近づいているのに
遠くで他人事のように
夜がないている
雨で全身が濡れている
心が震えていた
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