鯉のぼり

Lugh

鯉のぼり

ひときわ強い風が吹いた

気がつけば、じわじわと汗をかいている


青い空の中を鯉が泳いでいた


ここにも あっちにも

川のほうにも


きれいに間隔をあけて

並んでいる鯉のぼり

みんな、色と模様が違っている

赤いのがよく目立つ


風が吹くたびに

力強くはためく

頭から思い切り空気をはらんで

身体をめいっぱい伸ばす


何かに抗うように

力強く泳ぐ奴もいれば


萎んでしまって

うまく泳げない奴もいる


紐に一周絡みついて

そもそも泳ぐ気のない奴もいる


一年に一回は見ているはずなのに

ちょっぴりの新鮮な気持ちと

懐かしい気分を味わわせてくれる


長い付き合いのわりに

鯉のぼりのことなんて

何も知らない


鯉のぼりのことを

りゅうと数えるなんて

大人になっても知らなかった


五月を半ばも過ぎれば

きっと 鯉のぼりを見て思ったことなんて

忘れてしまうだろう


数千旒の鯉のぼりが

天に向かって

大きな口をあけながら

待ち構えている


風よ吹け 風よ吹け と

願いを込めながら

はためく一瞬を

待ち構えている

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