こちら、奇奇怪怪な自己紹介でございます。

加賀倉 創作

第1話『私の朝ご飯』

__とある皐月さつきのこと__


 ペンネーム、後藤録ゴトウ ロク


 本名、加賀倉かがくら創作そうさく 


 私はいつもの時間に起き、いつもと同じような朝食をとっていた。


 お盆に乗った五つの器。


 ご飯、味噌汁、目玉焼き、味のり……


 そして、オクラ。


 オクラは、始まり朝の食事スタメンの中でも、特に気に入っている。


 なぜなら、作るのが楽なのに、美味しいからだ。


 均整のとれた美しい断面の、冷凍カットオクラを少量、耐熱容器に移して、鰹節と醤油をかけ、ラップにかけて数十秒チンする。


 するとあら不思議、あっという間に、ではなく厳密には一分ほどかかっているが、おかずが一品完成するのだ。


 私は、最低限の時間をかけて、五つの器を空にする。


『空』というのは、比喩ではなく、文字通り、空である。


 ご飯茶碗にこびりついた米粒は、木製の箸の先っぽを、汁茶碗の底に残ったわずかな茶色い水溜りにつけ、濡れ雑巾ぞうきんで床の汚れを落とす要領で、綺麗さっぱり取り去ることができる。


 これで底の深い二つは掃除完了。

 

 目玉焼き、味のり、それとオクラは、ある程度形がまとまっていて、粒子がそれほど細かくないため、意識せずとも、器は綺麗に空になる。


 ご馳走様の後、お盆に乗った五つの器をシンクへと運び、つけ置きせずに、すぐさま洗浄する。


 洗い物は、手間や効率を考えれば、食事後にするのが一番だと、私は考えている。


 汚れは、時間を経る毎に、硬くこびりつく。


 だから、取り掛かるのは、早いに越したことはない。


 もちろん、皿の量と、汚れの種類にもよるが、その辺はあくまで臨機応変に、である。


 洗い物が終わると、キッチンペーパーを二枚取り、手を拭き、そのままシンク周りの水気を取り去る。


 今日も、完璧な流れである。


 この後、現在執筆中の『山本五十六』というタイトルの伝記小説を仕上げなければならない。


 締切は、今日、五月十六日、二十三時五十九分。


 小説の完成は締切ギリギリ、というのが、これまた、一興いっきょうなのである。

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