第21話 暗闇の中の宝探し
涼子は「虚無堂」のイベントに新たな要素を取り入れることに決めた。彼女が今回考えたのは「暗闇の中の宝探し」という体験。参加者が暗闇の中で隠された「宝」を探し出すことを通じて、視覚以外の感覚を研ぎ澄ます楽しみを提供し、チームワークと探究心を養うことを目的としていた。
イベントの準備として、涼子は虚無堂の内外を使って、様々な感触のアイテムや香り付きの小物を隠した。それぞれの宝物には、感触や香りで識別できる特徴を持たせ、参加者が暗闇の中で手探りや嗅覚を頼りに探し出すことができるよう工夫されていた。
イベント当日、参加者たちは虚無堂に集められ、涼子による簡単なルール説明が行われた後、暗闇の中での冒険が始まった。参加者はグループに分けられ、各グループには異なるヒントが提供された。これらのヒントは、宝の隠された場所を示唆する詩や謎かけが含まれており、チーム全員で協力して解読しながら探し出す必要があった。
暗闇の中、参加者たちは手探りで進む中、周りの音や空気の流れ、微かな香りに敏感になった。一つ一つの宝を見つけるごとに、チームの結束は強まり、参加者たちはお互いに声を掛け合いながら楽しんでいた。
一つの宝物が見つかるたびに、涼子はそのチームに新たなヒントを与え、ゲームは次の段階に進んだ。宝物は小さな手作りのアクセサリーや、特別に調合された香りの小瓶、感触の異なる布製の袋など多岐にわたり、それぞれが参加者に小さな喜びと達成感を提供した。
宝探しの終了後、参加者たちは再び明るい場所に集まり、それぞれが見つけた宝物について話し合った。多くの参加者が、「暗闇の中での宝探しは、普段使わない感覚を使うことで、新しい発見があった」と感想を述べ、共有する体験が彼らの感覚を刺激し、新たな視点をもたらしたことを喜んだ。
涼子はこのイベントが提供したチームビルディングと感覚探求の経験に満足し、参加者たちの笑顔と活気ある反応を見て、虚無堂での今後のイベント企画に新たなアイデアを得た。暗闇の中での宝探しは、虚無堂での体験がどれだけ多様で豊かであるかを再確認する機会となり、参加者にとって忘れがたい夜となった。
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