第8.5話 GRWM [クレア編]
アーティファクター強襲の翌日、クレアは日の光に当たりながら身体を伸ばす。
死の恐怖を体験した翌日の朝だが、思いのほか気持ちの良い朝を迎えていた。
朝日に照らされた髪は、輝くブロンズと鮮やかな赤色に輝く。
櫛で軽く髪を解かした後、看護師によって運ばれてきた病院食を喉に通し、無機質な味を体感する。
これを毎日食べていたら、退院後のシャバのご飯が絶品に感じることは間違いないと思えるほどである。
味覚をシャットアウトして朝食を済ましたクレアは、ギルダンに持ってきてもらった先願や化粧水、乳液と美容液をポーチから取り出し、ユニットバスにある鏡の前で顔を整える。
慣れない洗面台に格闘しながら乳液まで終わり、今度は化粧に入る。
化粧品の知識がないギルダンに、家から持ってこさせるのが申し訳なく感じたクレアは、スクールバッグに入っていた直し用の化粧品を取り出す。
普段は濃いめの化粧でギャルメイクをしているが、直し用の化粧品ではギャルメイクを作れないため、珍しくナチュラルメイクでセットする。
手早く化粧を済ませ、クレアは小さな箪笥の上にある紙袋から服を取り出す。
昨日、クレアが意識を失っている間、ギルダンが入院に必要な物品を届けていたようで、クレアが取り出した服も該当する。
ガウン型の患者衣をベッドに脱ぎ捨て下着を手に取り、ホックをはめパットを胸に当てた瞬間何かに気付き手を止める。
この着替え一式を持ってきた人はギルダンであり、ギルダンは男性である。
つまり、今はめた下着もギルダンがクレアの家の箪笥から選んで手に取っていることになる。
ギルダンが触れた下着をはめていることを、クレアは間接的に触れられていると勘違いしてしまったのだ。
変に勘違いしてしまったクレアは、赤らめた頬を隠すように畳まれたトップスを顔に押し付ける。
『ギルダンの……バカ』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます