第11話 剣術大会<2>
「おい、知ってるか?あのルーカス公が今回の剣術大会に参加するって」
「聞いた聞いた。入口のトーナメント表に名前があったし」
「今まで一度も大会に出てないよな?」
「というか、ルーカス公は実際強いのか?」
ざわざわと、大会参加者の集まる控室で噂話が広がっていく。
中でもルーカスが以前所属していた第1騎士団の集まる場所ではさらに話が盛り上がっていた。
「ルーカス公と手合わせしたことはないが、大したことないんじゃないか?」
「結局ディカイオ公爵家の者だから軍の総帥になったんだろ?」
特に新人は実際にルーカスと対峙したことがなく、同じ騎士団に所属していたにも関わらず気づけば軍を統括する立場に変わったことに不満を抱く者もいた。
もちろん、いくら嫡男ではないとはいえ片や公爵家の者、下位貴族とは違うというのはわかっていても、だ。
「そう言うなら、今日の大会でルーカス公に勝てるんだろうな?」
突然話に割って入ってきた低い声に、新人たちは振り返る。
「団長!」
声をかけてきたのは第1騎士団の団長だった。
「ルーカス公に関してとやかく言うくらいだ、お前たちは彼よりも強いという自信があるんだろう?」
「いや…まぁ」
「やってみなければわかりません!」
少し自信無さげに答える者もいれば、意気揚々と答える者もいる。
「実際に戦ってみればルーカス公の本当の実力がわかるだろう。わからなければそれまでだ」
それだけ言うと、団長は控室を出て行った。
「どう思う?」
「団長はルーカス公を買ってるからな」
「今日で本当のところがわかるんじゃないか?」
ざわざわと、また噂が広がっていく。
今大会で最も注目されているルーカス・ディカイオ公爵。
その実力が明らかになるのは、もうすぐだった。
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