第12話 約束とデート
クラスに入ってすぐに席に座り、
授業が始まる。
いつも通りの担任の授業。
何言ってるか全く分からない授業。
だが一部の耳が良い人は質問に答え、
評価が上がる不平等な授業。
授業を聞くふりをしながら
今日のことを考える。
どうしようかなぁ
まあ、あの暴力事件の件はクラスメイトから
喋りかけられないから良いとして…
あとで呼び出されてるんだよなぁ
…逃げようかな だが相手はギャルだし…
逃げたら殴られそうだ
あの先輩から殴られたばっかりだから
殴られるのは避けたい
いやギャルならどっちかっていうと蹴りか?
というか、いじめることの方が
ギャルのイメージ通りか…
いずれにしろ俺が大変な目に遭うっぽいし
ちゃんと行くか…
「良一君!!」
「わっ!?何!?」
喋りかけてきたのは幼馴染だった。
「もう授業終わってるよ!」
「えっ!?」
周りを見渡してみるとみんな帰る準備をしていた。
幼馴染がいつも通り聞こえない様に囁く。
「なにボーとしてるんだ?
このあと呼び出しがあるんだろ?
私は終わるまで待っててやるから
早く終わらせろよ?」
「あぁ…だからその事について
考えていたんだよ
どうにか逃げれないかなって」
幼馴染は首を横に振って言う。
「やめとけ やめとけ
逃げたとしても後日蹴られるか
いじめられるかがオチだ」
幼馴染も同じ見解らしい。
「でもなぁ 正直清田って怖いじゃん…?」
「まあ…それは…まあうん…」
幼馴染は言葉を濁すが否定はしていない。
幼馴染もそう思っているらしい。
「誰が怖いって?」
「「えっ!?」」
「清田………さん…」
清田が腕を組んで立っていた。
「きっ聞こえてたんですか!?」
かなりの小声で喋っていたのに…
さらに周りは片付けで騒がしい、
これで聞こえるなんて…
「前に言っただろ? 私は耳が良いって」
あぁそういや前そんなことも言っていたな
やばい 蹴られるかも…
「さっきのは…えぇと…
清田さんの事を言ってたわけではなく…」
「まあそれは別にいいけどさ、
それよりも…」
清田は貯めた様にしていう。
「なんで桜井さんそんな喋り方してるの?」
あっ、 そりゃそうだ 今の言葉が聞こえたのなら
幼馴染の話が聞こえて当然だ
幼馴染は俺の前でしかあの喋り方をしない
幼馴染は戸惑った様子で困っている。
「えっえーなんのことー?
私はさっきからこの喋り方だよー?」
「いや…さっきからこの喋り方だよ は
本当だったとしてたら
言い方としておかしくない?
その言い方だと喋り方を二つに分けている
言い方だと思うんだけど?」
ぐっ…鋭いな… 幼馴染は本気で焦っているから
この状態だと良い言い訳も思いつきそうにないな…
「そっそれで?借りの話だろう?
今でいいか?」
こうなったら話を強引に帰るしかない
「あっあぁ そうだったそうだった
貸しの件な あれ土曜日に駅前集合な」
よし! 話を変えられ…今なんつった?
「「えっ?」」
幼馴染も同じ感想らしい。
「貸しの件な 私買い物行く予定だから来て」
「えっ?」
「じゃあよろー」
「おっお前…これって…おいちょっと待て待て!」
幼馴染が俺の首元を掴みながら顔を近づけて
割と大きい声で言う。
「やっぱり桜井さんその喋り方してたんじゃん…」
遠くから清田がそう言った気がした。
「おい! お前行くのか!?土曜行くのか!?
どっちなんだ!?」
幼馴染が焦ったような混乱した様な様子で
言ってくる。
幼馴染の耳元に囁く。
「おいバカ!そんな大きい声で言うな!
目立つぞ!」
幼馴染の声は予想以上に響いたらしく、
クラスメイトが不思議そうに見てくる。
当たり前だ 幼馴染は普段そこまで大きい声を
出さずに冷静で丁寧な言葉で喋っている。
そんなクラスのマドンナがいきなり
大きい声と砕けた言葉で喋ったのだ
クラスメイト達からしたら不思議でしかない、
「あっごっごめんねー!」
幼馴染は恥ずかしそうに教室から出て行った。
…後で幼馴染探してカバン渡してやるか…
幼馴染が一緒に帰ろう的なことをさっき
言っていたので学校から出たりはしないだろう
しかしいくら喋り方が清田やクラスメイトに
聞かれたからって焦りすぎじゃないか?
幼馴染視点
………やってしまった……
まさか焦りすぎてあそこまでしてしまうとは……
私の不注意だ…
だけど土曜日の買い物の約束…
あれって……デートじゃないか……
荷物持ちかもだが…男女2人…買い物…
やっぱりデートじゃないか…
私だって高校生から一緒に遊びに
行ったことは無いのに……
未来ちゃんに相談しようかな……
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