第9話 看病
「頭痛がひどい…」
幼馴染と一緒に下校しながらそんな事を言う。
「まだ痛むのか?
5、6限休んでいたが…
まあそんなすぐには良くならんか
一応心配して友達との下校は
断ってきたが…
本当に大丈夫か?頭大丈夫か?」
「それ悪口に聞こえるな うーん…
保健室で話してた時から痛かったが…
それに保健室で何回か吐いてしまったし…
頭痛はだんだん強くなってるし
気持ちが悪いし、倦怠感がする…
立つのが辛い、
保健室はベットの上だったからか…
帰るのが大変…
顎に少し当たって
気絶するボクシング選手の
気持ちがよくわかる…」
「殴られて失神だとそんな症状が
6時間ぐらいに続くらしい
ちょっとどこかで休むか?」
「正直休みたいが休むところないだろ…」
俺の家までは結構距離があるが途中で
休めるような公園は
残念ながら無い。
「そうだな ここら辺で休めるところは……
あっ」
「? どうした?」
「いや…これは…うーん いや仕方がないか…
よしお前一旦私の家に来い」
「えっ?何? 脅されるの?」
「違うわ!
お前を休ませてやるんだ!」
「そうか…なら頼む…」
確か幼馴染の家は高校から俺の家までの
途中だったはず……休むにはちょうどいい…
「しかしあれだな
漫画とか小説だと殴られて失神しても
起きた後ピンピンしているが実際は
違うものなんだな
お前を見てると本当に辛そうだ…
っておい?大丈夫か?
顔が真っ青だぞ」
「あと……どれくらい?」
「あと5分だ 頑張れ
本当に頑張ってくれ
私絶対お前を背負って
いけないから」
「いっ家までは頑張って歩く…」
「お前 自分の家に帰った後に病院いけよ」
「あっあぁ そ…そうだな…」
幼馴染視点
「おい 着いたぞ
…おい? おい起きろ! 今玄関だ!」
「は あ あえ」
これは調べた症状の中にあった
喋ることが不明瞭になるだな
しかし途中から肩を貸したが玄関から
歩けていない
とりあえず背負うか
「ぐっ、重い…」
とっとりあえず…私の部屋のベッドに寝かせよう…
「どっこいしょと!」
ベッドに寝かせ、様子を見る。
「熱は…あるな あとは…
そういや確か寝たらあかんかったな
おい! 寝るな起きろ!」
「あっあぁ…」
「しかし大変だな
これ多分脳震盪起こしてるな」
寝ないようにしながら様子を見る。
1時間後。
「ここは…どこだ?」
「私の家だ
ふぅやっと意識がはっきりしたか
眠かったら寝ていいぞ
気絶からもう4時間たってるから」
「あぁ…そうする…」
すぐに眠ってしまった。
…これ大丈夫か?
病院行った方がいいな
ていうかこれ普通に問題じゃないか?
先輩に殴られて脳震盪って普通に
退学もありえる問題…
でもこいつの事だから
特に言ったりはしないんだろうな
こいつは昔からそういうところがある
愚痴は言うが行動には起こさない
理由は分からんがめんどくさいからとかだろう
「お姉ちゃん? どうしたのその人?」
私の妹の美咲が様子を見に来たらしい
「あぁ 美咲
この人は同級生だけど今、体調が悪いから
寝かせてるだけ」
「なるほど? まあ静かにしておく」
美咲はかなりしっかりしている。
そういやこいつを家に入れたのは
何気に小学生以来かもしれない。
美咲はこいつを覚えているのだろうか?
2時間後
「あぁよく寝た気がする」
「もう良いのか?」
「あぁ ありがとう 大分良くなった…
…お前ずっとそこにいたの?」
「心配だったからな 悪いか?」
こいつが寝てから動かずに
目を覚ますのを待っていた
「いやちょっと意外だったから」
「まあ今回は私が悪いしな」
するとこいつは目を丸くした。
「お前大丈夫か?
お前が自分が悪かったなんて言うなんて…
本物か? 熱でもあるのか?」
「うるさいな
私だって自分の非を認めることだってある
それに熱があるのはお前だ」
「えっ? まじ? 熱ある?」
「うん ある
まあ寝てて下がったんじゃないか?」
「そうかもな よし帰るか…
って暗いな! 俺何時間いたんだ?」
「3時間ぐらい」
「…長居しちまって悪かったな
じゃ帰るわ」
「そうか 大丈夫か?
帰れるか? 送ろうか?」
「いや大丈夫…病院は…流石にやってないか…
帰ったらゆっくりするわ
もしかしたら病院行くために明日休むかも」
「そうか…明日は一人で登校するわ
…あ そういやお弁当食べてねぇな」
「帰っても食うなよ
悪くなってるだろうから
仕方が無いから明後日作ってやる」
「そうか…ごめんな
あとありがとう じゃあな」
良一はそのまま玄関を出て行った。
あいつは私に謝りすぎる。
今回は私が悪いのに…
「結局あいつは大丈夫かな…」
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