第26話 剣術試合

エルメスが居なくなった。魔王と仲良くやってるみたいだ。まぁうるさくないので良しとしよう。



今私たちは闘技場にいる。しかもかなり広い。

これからやるのは私達の学園の序列十位以内の者達とお相手の魔王剣術魔法学園の序列十位以内の戦闘だ。

自分の序列と同じ相手と戦う事になる。

アーティファクトで保護されているとはいえ割とプライドが懸かっている一戦だ。


私が興味あるのは十位のローゼ王女と7位のアズサかな。後は一位の人だね。

ローゼは私に決闘で負けた事で十位となった。

神装が使えるっていうのでかなり評価は高かったらしい。


私は一応5位なので出なければならない。

まぁ自分の出番が来るまでは自由行動OKなので

観戦させてもらうとしよう。




◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️

「ふぅ。緊張するわね。」


ローゼは控室で深呼吸をして気分を整えていた。


ここで勝ってアビスさんに良いところを見せるのだ。それだけがアビスさんと仲良くなれる唯一の道!

それでゆくゆくはアビスさんを嫁にして毎晩ベッドの上で鳴かせてやるんだぐへへ…


「ローゼ様、お時間です。」


「あら、ありがとう。」


だらしない表情を一瞬で直し普段の表情へ戻す。










さて、お相手は…あいつね。


向こう側から向かってくる相手。

奴は序列十位の魔族。ターミというらしい。


「よろしくね。ターミさん。」


「あぁよろしく。お互い全力を尽くそう。」


審判が開始の合図を出す。


「ローゼ王女・ターミ!お互い全てを出し切る様に!始め!!」


開始の瞬間ターミが距離を詰めローゼに斬りかかる。

だがローゼはお手本の様な受け流しを披露し

相手に切り傷を負わせる。



「やはり強いね。今の攻防だけで分かるよ。」


「どうも。貴方もまだまだ本気ではないでしょう?」


「バレていたとは…恐れ入るよ。なら私の真の流派をお見せしよう。我が流派は水葉剣術。」


ターミの空気が変わった。


だが、ローゼは気にせず攻撃を始まる。


「っ!?」


ローゼは驚いた。何故か斬りかかっていた自身に傷がついたからだ。


「どうかな?我が剣術は?」


「なるほど…足運びを流麗にする事で速度を上昇させたんですか…見事ですね。でもあの人には遠く届かない。」


「あの人?それは…一体?」


「私のこの世で一番大切な人です。その為なら全てを投げ出せます。王家のお金も私も全てあの方に与えます。それほど愛しています。」


ターミは王女がそれで良いのかと思っていたが

顔には出さなかった。


「ふふっ。だが、僕の動きをすぐ見破るのは頂けないな。僕も本気を出した方が良さそうだ。」


「良いでしょう。そちらが本気なのであれば私も奥の手を出しましょう。」


「神装「ファイナライズ」顕現!」


「神装「グラファイ」顕現!」


二人の魔力が周囲に突風を生み出す。


ローゼは勝負の決め所と判断して攻めに入る。

アビスとの決闘の際にも見せた超強化された身体能力でターミを切り刻もうとするが…


「グラウォール」


ターミが唱えると周囲に黒い壁が出現した。


「これは…」


「そう、僕の神装の能力は魔力を岩に変換する能力だ。色々汎用性が高いんだっ!」


壁が消えたと思ったら岩石が飛んでくる。

それはターミの魔力で作られた物であり普通の岩石とは比較にならない威力を誇る。


「厄介ね。」


近づこうと思っても岩石の弾丸が飛んできて回避するだけで精一杯となる。

だが距離を取ってしまえば私の攻撃は届かず

相手の攻撃だけが届く。


出すしか…ないか。


「どうです?僕の神装は。」


「ふっ。やはり世界は広いですね。強い方達が山ほど居る。」


「……」


「ですが…負ける訳にはいかないんです!!」


ローゼの魔力が荒れる。

空気が震え周囲が照らされる。


それは祝福の輝き。到達した者だけがそれを理解出来る。



「神装第二段階「リアライズ」」


「第二段階だと!?」






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る