『親友』
@Minto-chan
第1話 親友の死 (1話5分で読めます。週1で連載するつもりです)
〇親友の死
「波留、美陽ちゃんが亡くなったって、、」
母からの電話に一瞬呼吸を忘れてしまった。美陽が死んだ?そんなはずがない。
つい数日前に、美陽とは近所のファミリーレストランで楽しい時間を過ごしたばかりだった。
美陽と私は家が近く、同じ小学校に通っており、双子のように仲が良かった。
中学高校は離れてしまったが、その後も週に1度は近所の行きつけのファミリーレストランで話をしていた。
バスケットボール部で活動していた私を、いつも美陽がわざわざ校門の前で待っていてくれた。
美陽は運動が苦手で、美術部に所属していたため、私より下校時間が早かった。
大学進学を機に私は兵庫から東京へ上京した。
美陽は地元の大学に進学し、距離は離れたものの、数日前もそうであるように、実家に戻った時には必ず会うような関係性が続いていた。
会った時には互いの近況を報告し合い、将来についても語り合っていた。
美陽には同じ学部の彼氏がいたし、将来の夢があった。
東京の某大手企業に就職し、私と金曜日の仕事終わりに飲み明かすのだと、目を輝かせながらそう語っていた。
警察の話によると、雷雨の夕方に大学近くの川で流されていたところを翌日近隣の住民が発見したという。
足を滑らせ、氾濫した川に流されてしまうといったよくある事故だと扱われた。
そんなはずがないのだ。
美陽はしっかり者で、少なくとも雷雨の日に一人で出歩き、氾濫している川に近付き、足を滑らすような子ではない。
私はショックとともに、妙な違和感を覚えた。
警察が事故として扱ってしまったなら、私が美陽のために動くしかない。
いや、美陽のためではなく自分のためかもしれない。
真相を探るといったものの、何から始めればよいか分からなかった。
私よりも美陽の最近の状況を知っている人、、、。
幼い頃からお世話になっていた美陽の母の姿が浮かんだ。
私は美陽の葬儀に出席するためにも、美陽の母に会うためにも兵庫県行きの新幹線に乗った。
美陽が亡くなった3日後に葬儀は行われた。
美陽の葬儀には、懐かしい顔が半数ほどいる中、見慣れない、私と同年代とみられるような子が同じくらいいた。
きっと美陽の大学の友人だろう。
うつむき、涙を流している人や、大きな声で泣き叫んでいる人もいた。
こんなことを考えてしまっているのは私がおかしいのだろうか。
この中に絶対、美陽の死に関わっている人がいる。
その考えが頭の中を駆け巡っていた。
私は1週間ぶりに美陽の顔を見て、今まで抑えていた感情が一気にあふれ出した。
「うああああああ、美陽、、、美陽っっ」
心にぽっかり穴が開くとはこういうことを言うのだろう。
美陽の死の真相を探ることに集中しなければ、自分が崩れてしまうような気がした。
まずは美陽の母と話をしよう。
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