だれかの日記 たかやなぎ かおる

たかやなぎ かおる

第1話 日記

どこにも吐き出す場所がなく、頭がおかしくなりそうなので日記を始める。

図書館に行った帰り道に買ってきた、二千円で心が軽くなれば安いものだが。

外に出るようにしているが行き場所はない。

家に帰ってきた途端に耳鳴りがひどくなる。

最近はケータイのバイブレーションみたいにヴーン、ヴーンと鳴る、とてもツラい。

耳の穴の上にハエが止まって定期的にぶんぶん鳴るような不快感。

ただ座ってるだけでツラいが伝わらないだろう。

正直、この家にいるのが一番の問題だと思っているが、そんな事は言えない。

外の車が止まる砂利の音、玄関のガラガラ音、すべて家にいたあの男を思い出し、

ドキドキするのだ。

昔を思っても意味がないのはわかりきっているが、昔の事ばかり考えてしまう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る