祭行列
双葉紫明
第1話
昨日は午前二時から五時過ぎまで、それから九時から十七時まで、今朝はまた二時から五時半までバイト漬け。
ずっと街に居た。合間合間に仮眠を摂って、今朝は牛乳配達の為に山へ戻り、十時半頃配達に出た。国道を走り出すと祭の列。昨年まで僕がいた地区の人たちが、僕らがいた住宅を廻って寄り合い所へ戻るところ。
さみしい、さみしい、数人の列。折からの高齢化に相次ぐ転出、コロナ。もう、自治会の体を成して居なかった。そして僕ら家族も出てしまった。
それでも新しい人たちは入って来た。だけれど祭を賑やかにする小学生はたったのふたりの兄妹。どちらも僕の娘たちと同級生だった。
僕らが住んでた住宅にも人が入った。どんな人かはまだ知らない。たぶん、列に混ざっていただろうけど。
ゆっくり進む神輿の列を避ける様に、その近辺を後まわしにする事に決めて隣村へ車を走らせた。
この村の祭は日にちで決まっていて、毎年四月の十四日。曜日によっては元妻が子供たちを連れて来れたかもしれないけど、僕がまわりにうまく馴染めてなかったせいで、嫌かもしれない。
ともあれ僕も、元家族も今は大変だし、水曜日で良かった。
今年は春が遅いと言われたけど、このところ駆け足だ。例年GWに咲く桜が綻び始めている。隣村の配達を終えて村に戻ると十三時過ぎ。今僕が暮らす自治会の人たちが、前の自治会の寄り合い所まで神輿を迎えに行くところに重なった。
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