第58話 消しゴム

「はい、どうぞ。」


たった一言添えて、渡される。


今まで声をかけられなかった。


声をかけても来なかった。


机からぽろんと落ちた消しゴムを

拾ってくれた。


嬉しかったんだ。


まだ友達にはなっていない。


ただのクラスメイト。


その一声で明日も学校に来るって

思えるんだ。


僕に気づいてくれたから。

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