きみのための長文

双葉紫明

第1話

あ、とか、う、とか。 


それも、こころだ。


誰かれかまわず長文のメールを打ったら、相当疎ましがられるだろう。


君以外に長文のメールを打つとき、だいたいは何かをお願いする時だ。


お金の無心。


たったそのひとつの為に、まわりくどい長文をしたためる。


でも、きみに長文を書く時は、違う。


きみは僕の、千のことばに酔い、勘違いする。


愛してる


そのひとことで良い筈なのに。


きみは僕のだらだらとしたきみとぼくについての長文を、心待ちにしているようだ。


だから書こう。


うんざりするくらいの、きみのための長文を。

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