その8・多重人格
「私、実は多重人格者なの」
そう言ったのは、僕の彼女である陽子。
僕は突然の告白に驚きを隠せない。
正直言って嘘をついているとさえ思う。
しかし、彼女の表情を見ると、
それは嘘では無いことがわかった。
「お願い、信じて」
確かに今までの彼女と過ごした日々を思い返せば多重人格者であることに納得がいってしまうのである。
たまに言葉遣いが悪く不良のような立ち振る舞いをしていることがあったりもした。
普段大人しい彼女からは想像できないほど荒れていた。
その時は機嫌が悪いだけだと思っていたが、おそらく彼女の別人格が出ていたと言うことであろう。
「信じるよ。そして良かったら他の人格の人も紹介してくれないか?」
「え?」
「君の全てを好きになりたいんだ。
だから挨拶だけでもさせてくれないか?」
「将生さん、、、ありがとう、、、」
彼女は涙しながらそう言った。
「じゃあ、紹介するね」
すると彼女の雰囲気が急に変わった。
「はじめましてっ!つっても何回かアンタとはデートしたことあるんだけどね!
私はマキ。陽子の多重人格の1人さ」
「多重人格の1人?ってことは他にも人格がいるの?」
「そうだなぁ!私と陽子以外にも後4人の人格が陽子の中にはいるぜ!」
正直、驚いている。
何故なら僕は陽子以外にはこの不良の様な状態の人格しか見覚えがないからである。
「そ、そうなんだ。他の人格も呼んできてくれるかい?」
「ああ!」
「はじめまして。あーしはユウカ。
まぁ、よろしく〜」
次は気怠げなギャルの様な雰囲気の人格だ。
「、、、、、、、、、、よろしく、、、
、、、、くくくく、、、、、」
次はなんか爆弾を作ってそうなくらい暗く怪しい雰囲気を持った人格である。
「あーだりっ!あんたが陽子の彼氏だね、、
陽子泣かせたらタダじゃ済まさないからね、、」
次はスケバンのタイプの不良の雰囲気の人格。
「えへへへへ、あははははは、うふふふふふふふふふ」
次はかなりサイコなヤバそうな雰囲気の人格。
そして、雰囲気がいつもの陽子に戻る。
「どうだった?」
と彼女が聞いてきた。
「なんか、、、、陽子の中、、治安悪いね」
と僕は感じた印象をそのまま伝えた。
そしてもう一言。
「それにしても驚いたよ。
まさか智史の中にいる人格の1人である陽子が多重人格者だったとは」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます