Only master of Archer 〜弓が最弱のファンタジー系VRMMOでトップランカーを目指す〜
涙目とも
プロローグ
諸君、今からある質問をしよう。
武術の中でも一際強力で、その歴史は紀元前縄文時代から続き、現代でも日本最古の武道という形で受け継がれているものとは何か。
意外に思うかもしれないが、『弓』である。
弓の歴史は長く、そして深い。『丸木弓』と『複合弓』から派生し、今では『
さて、そんな紀元前、古代、中世最強の弓だが、現代、ことVRMMOに置いては最弱と蔑まれ、忌避されている。それはなぜか、技術、世論、使い手の3つの観点から考察しよう。
まず1つ目は技術。
純粋に、弓をシステムに導入するには様々な障壁がある。
物理演算、プログラムは5w1Hに基づいて進める。
When:いつ
Where:どこで
Who:誰が
Why:なぜ
What:何を
How:どのように
これを弓に当てはめると、
いつ矢が発射されたか。
どこで矢が発射されたか
誰が矢を発射したか
なぜ飛んだのか
何に当たったか
どのように刺さったのか
いつ、どこで、誰がはプレイヤーの座標を参照したり矢自体の座標で求めればいいが、肝心なのは残りの3つ。
なぜ、何に、どのようにを一回一回、リアルタイムでシュミレートしなければならない。これだけで相当なスパコンがかかるし、よりリアルリティを追求するならば物質にしなりと伸びを追加し、そこから強度、この場合はどの程度しなり、どのくらいの力で破損するかを設定しこれまたシュミレートしなければいけない。
2つ目は世論。
弓の強みとして語られるのは、急所に当たったときの一撃性と、四肢に当たったときに行動の制限ができることだ。しかし、これらの特徴はゲーム的関連から実装するのは難しい。
もし、ヘッドショット一撃なんてことになったらバランスブレイカーも良いところだし、プレイヤーの気持ちよさを優先するゲーム内で、矢の一発で行動を制限させられるなんて溜まったものではない。
3つ目は使い手だが……
―――純粋に当たらないんだなぁこれが。
一時期、初期武器に弓が並んでいるタイトルをプレイさせていただいたが、これが当たらない当たらない。しかも、システムアシストを導入してみてはどうか、という意見を取り入れ実装まで果たしたタイトルで、だ。
その理由は、プレイヤー、そしてAIのランダム性によるものだ。
対象は物言わずただ突っ立っているだけの木偶の坊ではない。れっきとした、動く的である。弓の弓速が200km/時だとして、秒速55.5m。100m先の的に当たるまでに2秒かかるから、横に動いていればまず当たらない。
と、ここまで現実における弓の強さと、VRにおける弱さを語ってきたが……俺は弓を救いたい。
というわけで、買ってきました最新タイトル!! と言っても一年前だが。
その名も『
これまでの歴史で登場した有名な軍隊や部隊たちに沿った特徴を持つ兵士たちになり、各々育てた自分のアバターで夢のドリームマッチができるというものだ。
無論、魔法や種族などの要素もあり、信仰神も決められる。『スパルタ兵の特徴を持った土魔法を使うタワーシールドドワーフ』みたいなカスタムができる、が、そこらへんはやりながら覚えよう。
「レッツ、プレイ!!」
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